サクラ大戦 血塗られた戦い(第4話) 作・ボケorツッコミ |
第4話 「天使と悪魔と」
「メル君この書類はどこに置けばいいかないいかな?」
「はい、そこの2番目の引き出しにお願いします」
「メル〜、この前の報告書どこおいたっけぇ〜?」
「シーまだ直してなかったの。目に付くように机の上に置いたはずよ」
ここはシャノワールの秘書室。前回の事件でメルが足を怪我したことのあり大神は、ここ数日秘書室でメルの仕事を手伝っていた。
「ふうぅぅ〜〜〜・・・・・」
「どうしたんですか大神さん近頃ため息ばかりしてますよぉ〜」
「大神さんお疲れなら無理して手伝ってくれなくてもいいんですよ。もともと私の仕事なんですから」
「いや、違うんだよ、メル君。ちょっと前回の戦闘の疲れが残っているだけさ・・・・」
ついこの前のことだった。
ラガースと名乗る二人目の怪人との戦闘、完璧なる陽動・・・それによって姿をみせたリボルバーカノンつまり凱旋門支部への奇襲、全てが計算された敵の作戦だった。
大神のとっさの機転により辛くも勝利することができたが、その被害は決して小さな物ではなかった、怪人には逃げられ、無理な使用と急激なダメージで大神の光武二式とエリカの光武F2は破損し今もなお修復中、巴里華撃団の切り札ともいえるリボルバーカノンも戦闘に巻き込まれ使用不能になってしまっていた。
「たしかに前回の戦闘は被害大きかったですね。大神さんとエリカさんの光武2機が中破、リボルバーカノンについては復旧のめどすらついてない状態ですから」
「それに新しいの怪人のことも何もつかめていませんし・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
ガチャッ
ドアが開き無言の大神の前に暗い顔をしたグラン・マがはいってきた。
「オーナーおつかれさまです、どうでしたか欧州防衛会議は?」
「どうもこうもないよ、まったく責任がどうの予算がどうのってちっとも話がすすまない。結局リボルバーカノンはしばらく凍結、光武2機の修理を優先させることになったよ。さすがにあれだけのものを修理するには時間と経費がかかるからね」
「すみません自分がふがいないばかりに・・・・・・・」
大神が深々と頭をさげる。
「なに言ってるんだいムッシュ、ムッシュが機転をきかせてくれたから被害を最小限にとどめられたんじゃないか」
「そうですよ大神さん、もし大神さんが来てくれなかったら、私たち助からなかったかもしれないんですから」
「ちっちょっとシー。怖いこと言わないでよ!!」
「いいやメル、シーの言うとおり、ムッシュはあたしたちの命の恩人さ。礼を言うよムッシュ」
「「大神さんありがとうございました」」
「いや、そんな・・・。礼なら自分よりエリカ君に言ってあげてください。彼女が頑張ってくれなかったら、きっとやられていたでしょうから・・・・・」
「そうだねぇ〜。前回は二人ともよくやってくれたよ。メルの誕生日パーティーもできたしね・・・・・。さて、あんまり長話もしてられないんだ。これからいろいろ仕事も残ってる。メル、お茶をいれておくれ」
「ウィ、オーナー」
「それからムッシュ。ちょっと話ががあるんだ。ついといで」
「えっ!・・・はい、わかりました」
大神はグラン・マに連れられ、支配人室に入っていく。
「それで話しというのは・・・・?」
「まあ、ちょっとまちなムッシュ・・・」
しばらくしてメルが紅茶をもって来た。グラン・マはそれを一口飲むと大神の方に目をやる。
「さてムッシュ。実はあんたに一つ頼みたい仕事があってね」
「頼みたい仕事?」
(まさか前みたいにダンスパーティーかなんかに行かされるんじゃないだろうな)
大神は結構顔に出やすいタイプでもある。裏を返せば嘘をつけない純粋な人間ということではあるが、いつもこれが命取りであることも否めないわけである。
もちろんグラン・マほどの人がこれを見逃す訳もなく、あっさりと大神の意図を当ててみせる。
「安心しなムッシュ。今回はちゃんとした任務だ」
「ちゃんとした任務・・・?」
「実は明日、港にある物が届くんだけど、それをこの場所まで運んで欲しいんだ」
そういうとグラン・マは、大神にひときれの紙を渡す。
「ここはルーブル美術館・・・・一体何を?」
「それはそのうち教えるさ。もしかしたら結構な仕事になるかもしれないから、誰かをパートナーとして連れてくといい。時間はそこに書いてあるとおりさ。それじゃ、よろしく頼むよ」
「はい、わかりました。大神一郎、明日、特務につきます」
大神は支配人室を出るとあらためて紙をひらいた。
「時間は1300か・・・・さてパートナーは誰にしようかな・・・」
大神はしばらく考えていたが、答えは一つしかなかった
(やっぱりここはエリカ君だよなパートナーはエリカ君しかいないな)
大神は屋根裏部屋に向かった、しかしそこにエリカの姿はなかった。
(エリカ君、教会かなぁ・・・・・)
大神はシャノワールを出て教会に向かった
「あれ? エリカ君いないな・・・・」
「これは大神さんどうかしましたか?」
あてがはずた大神の前に神父が現れた。
「大神さん懺悔などされてはいかかがですかな? 心が晴れ晴れとしますよ」
「いえ、あの自分は・・・・・・・」
数分後・・・大神は懺悔室の中にいた
「こんなことしてる暇ないんだけどなぁ〜」
しばらくして誰かが向かいの部屋に入ってきた
(おっ係の人が来たみたいだな・・・)
「懺悔の部屋へようこそ、さあ迷える子羊よ自分の罪を懺悔しなさい」
(ん、この声どこかで聞いた気が・・・・・・ってエリカ君じゃないか!!)
「さあどうしましたか、遠慮せずに胸の内を話してください」
(エリカ君、気づいていないのか・・・・?)
大神は少し動揺したが、一息つくと柵の向こうのエリカに話しはじめた。
「実は・・・・・・俺はこの巴里を守る仕事をしています・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「それでこの前、俺は大勢の人を仲間を救うために俺の一番大切な人を危険な目に合わせてしまいました・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「 俺の罪は許されるでしょうか?」
「 ・・・・・・・そうですか」
「大勢の人を救いたいと思うことはとても素晴らしいことです。しかし、神様はおっ
しゃいました。人の命より尊い物はないと。そしてそれは誰もが皆同じであると」
エリカの熱弁はさらにつづく。
「あなたはその人を信じていた。そしてその人もまた、あなたの事を強く信じています。だから、あなたが罪を感じることはありません。何よりあなたの力になりたいとその人は思ったでしょうから・・・」
(エリカ君・・・・・・・)
エリカの言葉に、なにか込み上げるものを感じながら大神は懺悔室を出た。
「どうでしたか、大神さん。胸の内はれましたかな?」
「はい。とても・・・・・・・」
「そうですか。それはよかったです、はい」
「あれっ。大神さんじゃないですか!!」
ふいに二人の後ろの方から声が聞こえた
「あっエリカ君・・・・」
「どうしたんですか大神さん。こんなところに、私になにか用ですか?」
「あっ、うん。そうなんだけど・・・・・・・・」
(まさかエリカ君まだ気づいてないわけないよな・・・・・)
「どうかしましたか?」
「いやいいんだ、実はグラン・マに明日、特命を受けたんだけど、できればエリカ君も一緒に来て欲しいんだ」
「あっ! 明日は無理です」
「えっ!!」
思わぬ返答に大神は思わず聞き返した。
「すいません大神さん。明日はサッカーの試合があるんです」
「しあい・・・・・・?」
「はいっ。隣町の子とやるんです。私が抜けると人数が足りなくなっちゃいますから・・・」
「そうか・・・・・・・」
「ごめんなさい大神さん・・・・・・」
「いや、いいんだよ、違う人に頼むから。それじゃエリカ君、俺はもう行くね」
「はい、じゃあまたシャノワールで・・・・・・」
教会を出た大神はしばらく歩き、ブルーメール邸の前で止まった。
(しかたない。グリシーヌか花火君に頼んでみるか)
大神は中に入っていった。しかし・・・・
「ええ!! 二人ともだめなのかい!!」
「すまぬ。明日は二人でオペラを見にいく予定でな」
「大神さんのお誘いを断るのは心苦しいのですけど、前々から楽しみにしてたもので」
「大人気でなかなか手に入らなかったチケットをやっと手に入れたのだ。すまぬが他を探してはくれぬか」
「・・・・・・・そうかわかった・・・」
「すみません大神さん。私・・・・・」
「いやいいんだ花火君。急に誘った俺が悪いんだから。じゃあ、楽しんできなよ」
大神はブルーメール邸をあとにした。
(さてどうしたものか・・・・・・)
大神はシャノワールまで戻ってきてしまった。
(あとはロベリアとコクリコか・・・)
悩む大神・・・・
(よしここはロベリアに決めよう・・ちょっと心配だけど・・・・・・)
そう決めた大神は裏通りのバーに入った。
「おっ! やっぱりここにいたかロベリア」
「んっ、なんだ隊長か。どうした一杯やりにきたのか?」
「いや違うさ、ちょっとロベリアに頼みたいことがあってね」
「このあたしに頼みたい事だって・・・・・?」
「ああ、実は明日、グラン・マにある仕事を頼まれてるんだけど、一緒に来て欲しいんだ」
「仕事・・・隊長、このあたしがそんなことのために動くと思ったかい。まったく、バカだからなぁ〜」
「そこを頼むよ。グリシーヌやエリカ君に断られて、もうロベリアしかいないんだ」
「なんだ、私は残りものかい。ますます行く気が失せたね。だいたい、明日は行くとこがあるんだ。残念だけどあたしゃパスだ」
「そんな〜〜・・・・・・・」
結局ロベリアにも断られてしまった大神は、とぼとぼとサーカスの方へ歩いていった。
「なんだかんだでもう夕方になってしまった。コクリコいるかな?」
大神はいつもどおり、こっそりとサーカスの裏手に回ると、コクリコの部屋の前にきた。
コンコンっ
大神はドアをノックしたが返事は帰ってこなかった。
(あれいないのかな?)
「あれっ、イチロー。ボクになにかよう?」
振り向くと、そこに野菜くずの入った大きな袋をいくつも抱えたコクリコがいた。
「あっ、コクリコ。動物達のご飯の買い出しに行ってたのかい?」
大神はコクリコの荷物を半分持ちながら言った。
「ありがとイチロー。そうだよ、今日もみんないっぱい働いたから、いっぱいご飯あげるんだ」
大神はコクリコと一緒に動物小屋に入った。
「みんな〜、おまたせ、ご飯だよ!!」
コクリコが嬉しそうに動物たちに餌を配る。大神も当然手伝った。
しばらくして・・・・・・・
「ありがとうイチロー。おかげで早く終わったよ」
「どういたしまして。それよりコクリコ、今日は頼みたいことがあって来たんだ」
「ボクに頼みたいこと・・・・?」
「実は明日、グラン・マに仕事を頼まれて、できればコクリコに一緒に来てもらいたい
んだ」
「えっ! ボクがイチローのお手伝いするって事?」
「ああ、一日俺のパートナーになってほしい・・・」
「ボクがイチローのパートナー・・・・・」
花組の隊員のほぼ全員は少なからず大神に恋心を抱いている、コクリコもけして例外ではない。まして大、神がエリカを選んだ時点で全てを諦めていたコクリコにとって、この大神のパートナーになるということは、まさに夢のような話だった。
「うんいいよ。ボク一緒に行くよ!」
「ほっ、本当かい、コクリコ!!」
「うん、明日はサーカスお休みだし、イチローのお手伝いしたいもん」
「そうか・・・よかった。ありがとうコクリコ」
ほっと胸をなで下ろす大神
「それに・・・・・」
「ん・・・・・?」
「イチローがボクと一緒に行きたいって言ってくれたんだもん。断れる訳ないよ」
大神の表情が一瞬固まる
(言えないみんなに断られてきたなんて、俺には言えない・・・)
その夜、大神がみんなの口止めに奮闘したのは言うまでもない・・・・・
☆ ☆
☆
そして次の日・・・・
「遅いなぁ〜、コクリコ・・・・・」
大神が時計に目をやる。時間はすでに11時をすぎている。このままだと間に合わないかもしれない。
(時間言い間違えたかなぁ・・・・・しかたない。これ以上まっていたら時間に遅れてしまう)
大神が諦めていこうとした時、ふいに頭の上から声が聞こえた。
「まって、イチローーーーー!!」
「えっ、コクリコ!!」
大神が見上げるより早く、コクリコが地面に着地した。
「はぁ・・・はぁ・・・遅くなってごめんイチロー・・・」
息を切らせてしゃべるコクリコ。どうやら、また屋根をつたって来たらしい。
「いや、いいんだけど。大丈夫かい、コクリコ?」
「うん、ボクなら平気」
「よし、じゃあ行こうか?」
「うんっ!」
シャノワールから港までは地下鉄やバスなど交通機関を使っても、ゆうに1時間はかかる距離だった。
「一体どうしたんだい、コクリコが遅刻するなんてさ・・・・・」
「うん・・・・昨日の夜、うれしくてなかなか眠れなかったんだ・・・・」
「うれしかったって、今日はグラン・マに頼まれた仕事にいくんだよ」
「うん、それでもイチローと一緒に歩くのはボク楽しいから・・・・」
「コクリコ・・・・・」
頬を赤らめるコクリコに大神まで赤くなる。
「ねぇイチロー・・・・」
「ん・・・・?」
「手つないでもいいかな・・・・・?」
「ああ、いいよ・・・・・」
こうしてちょっと微妙なムードを漂わせながら、大神とコクリコは任務のため港に向かった。
「おまちしてました、巴里華撃団の方ですね?」
「はい。巴里華撃団隊長大神一郎です!」
大神が敬礼をする。そしてそのよこで・・・
「巴里華撃団隊員コクリコです!」
コクリコも敬礼をする。
「・・・・ご苦労様です、それではこれを」
おもわぬコクリコの登場に少し戸惑いながら、男は大神にゴルフバック程度の大きさの包みを渡す。
「これは・・・・・・?」
「自分も中身は存じません。自分の任務は、これを巴里華撃団の方に渡すことですのでこれで・・・」
「はい、たしかに受け取りました。これは自分が責任を持って目的地まで護送します」
再び敬礼をすると男は人込みに消えていった。
「ねぇイチロー、それ一体なんなの?」
「実はグラン・マにも教えてもらってないんだ。ここまで護送してきた人も中身を知らなかったことだし、きっととても重要な物なんだよ」
大神はあらためて預かった包みに目をやる。輪郭からして、おそらく箱かなんかを包んであるのはわかる。しかし、問題はその包みのところどころに貼ってある物だった。
(これはおそらく護符かなんかの一種だろう。やはり、俺達巴里華撃団が頼まれたのに何かわけがあるのか・・・・・・)
「イチロー! ねぇ、イチローてばっ!!」
「ん・・・・ゴメンゴメン。なんだいコクリコ?」
「もう、ボーっとしてたら、だめじゃないか! これをルーブル美術館に持っていかなければ行けないんでしょ?」
「ああ・・・そうだな。じゃあ、行こうか・・」
ルーブル美術館は港からはさほど遠い距離ではない。
大神達は地下鉄から下りルーブル美術館への道を歩いていた。
「なんか任務って言うから難しいお仕事かと思ってたけど簡単だったね」
「ああ・・・・そうだね・・・・」
コクリコの言葉に笑って応える大神。しかし、大神はその不安を拭い切ることはできなかった。
(本当に大丈夫なのだろうか。グラン・マはも、しかしたら厄介な仕事になるかもと言っていた。それに何が入っているか誰にも知らされていないこの荷物、本当にこのまま何事もなく終了してしまうのか・・・・?)
大神の予感は当たっていた。二人は気付いていないが、二人の後を不気味なコウモリが尾行していたのだ・・・・・・・しかし、大神とコクリコはそんなことは知るよしもなく、目的地へついてしまった。
「さて、グラン・マに言われたとおりルーブル美術館にはついたが、これから一体どうすればいいんだ・・・・?」
入り口の前で立ち往生している大神達にきずいたのか何人か近づいてきた。
「あの〜、巴里華撃団の方ですか?」
「はいっ。そうです」
「ここからは我々が任務にあたります。荷物をお渡しください」
「あっ、はい・・わかりました」
大神は背負っていた荷物を渡すと、後ろにいた男達がルーブル美術館の中に持っていってしまった。
「ご苦労様でした。ここからは私たちにお任せください。では失礼します」
そういうと、その男も美術館の中に入ってい行った。
残された大神とコクリコ。
「・・・・・これからどうするイチロー?」
「う〜ん。せっかくここまで来たんだし、俺達も中に入ってみるか」
「うんっ!!」
大神達もルーブル美術館に入っていった。そして、大神達をつけていたコウモリはいつのまにかその姿を消してしまっていた・・・・・
「うわぁ〜、すごいねイチロー、みてみてこれ!」
「ははは、コクリコ楽しそうだな」
コクリコには、もちろん絵などの価値はわからないのだが、大神と二人で来れたことにとても満足していた。
「そういえば、みんなで来たいって言っていたもんな・・・・」
「うん!」
1年前。大神が巴里華撃団の隊長をしていたとき、このルーブル美術館を狙ってパリシィの怪人ナーデルが現れた。ロベリアのおかげで撃退できたのだが、コクリコがそのとき。みんなで来たいと言っていたのだった。
「あの時は驚いたよね、だって、ロベリアがモナリサを燃やしちゃったんだらさぁ〜」
「そうだったね。後で偽者だったと分かった時は、ほっとしたけど」
「ロベリア、本当にやることがむちゃくちゃなんだからさ〜。イチローが帝都に帰っちゃった時なんか、エリカに任せておけないって、自分が隊長やるって言ってたんだよ」
「へぇ〜、そんなこともあったのか・・・・」
「ほんとだよ。それにすっごくいじわるなんだよ、ロベリア・・・・」
「そっ。そうなのかい・・・・」
「うん。ボクのことチビチビって言うし、グリシーヌともよくケンカしてるし・・・」
顔をほんの少し膨らませて訴えるコクリコ。それを苦笑しながら聞いている大神。とそこへ近寄る一つの影・・・・・
「へぇ〜、言ってくれるじゃないか、このチビ・・・」
「「えっ!!」」
噂をすればなんとやらではないが、大神とコクリコの後ろから本当にロベリアが現れた。
「ロッロベリア、一体なんでここに!?」
「何言ってんだ、隊長。今日は行くとこがあるって言っておいたじゃないか、あたしには隊長達がここにいるのが不思議だがね」
「いや実は任務は、ここにある物を届けることだったんだ・・・・」
「ふ〜ん。そうかい。だったら、あたしがいってやりゃよかったな。こんなガキじゃなくてさ」
ロベリアがコクリコをにらむ。
「べ〜〜〜〜だっ・・・・・」
「おっ、おいコクリコ・・・・」
「ふんっ。まったく、かわいくないねぇ〜。おっと、こんな事してる場合じゃないんだった」
「んっ、なんか急ぎの様でもあるのかい?」
「ああ、まあな・・・・そうだ、隊長。ちょっと付き合わないかい。いいものみせてやるよ」
「いいもの・・・・?」
大神はロベリアの言ういいものに興味を示したようだが、コクリコが黙っている訳がない。
「そんなのだめだよ、イチローはボクと一緒に見るんだから」
「ガキは黙ってろよ。なぁ隊長、いいだろ〜。悪い様にはしないからさぁ〜」
ロベリアが大神に寄り添う。ますますコクリコが不機嫌になる。
「も〜、イチローからはなれてよ!! ね〜行こうよイチロー!!」
「ちょっと、二人とも落ち着いて・・・・・」
「あたしは落ち着いてるさ。それよりどうすんだい。来るのかい、来ないのかい?」
しびれをきらしてロベリアが問いたてる。
「イチロー!!」
「うっ、う〜ん・・・・」
「ええい。あいかわらず、はっきりしないねぇ〜。いいから来ればいいんだよ!」
ロベリアが強引に大神の腕を引っ張っていく。
「あっ、ちょっと、ロベリア!!」
コクリコも慌てて追いかける。
大神達は美術館の奥に進んでいく。
「一体、どこに連れて行くんだいロベリア?」
「なあに、ちょっと特別展示室へね。あたしの掴んだ情報が正しければ、いい物が見れるよ」
大神達はその特別展示室の前に来た。しかし、その前には関係者以外立ち入り禁止の看板とロープが張ってあった。
「まさかロベリア・・・・・・」
いうまでもなく、やな予感・・・・・
「あたりまえだろ。忍び込むんだよ」
「そっ、そんなのダメに決まってるじゃないか!」
コクリコが反論する。ただでさえ、大神との時間を邪魔されているのに、こんな泥棒まがいなまねをしたくないし、大神にさせたいとも思わなかった。
「ロベリア。俺もコクリコと同じ意見だ。俺はそんなことしたくないし、君にもさせない」
大神の目は真剣だ。
「まったく。本当にかたいねぇ〜。バカだからか? 別に盗もうって訳じゃない。こっそり見せてもらうだけさ」
「いいや、それでも俺は許さないぞ!」
「イチロー・・・」
しばし沈黙・・・・
折れたのはロベリアだった。
「わかったよ、まったく誘うんじゃなかった・・・・」
「そうか、ありがとうロベリア・・・・」
「だけど、これで今日のあたしの楽しみがパーだ。責任とってくれるんだろうねぇ〜」
「えっ!」
「なっ、なに言ってるんだよ、ロベリア!!」
「うるさいね。黙ってなチビガキ!」
とうとう収集がつかなくなってきた。と、ここで大神を救ったのは意外な人物だった。
「おやっ。なにやってんだい、あんたたち?」
三人が一斉に振り返る。そこにいたのは、声の主であるグラン・マと大神の上司でもありあの凱旋門支部の支部長でもある迫水大使だった。
「グラン・マ! それに迫水大使もどうしてここに?」
「いやぁ、大神君が無事任務を終えたか確認にね」
「えっ。じゃあ・・・」
「そうさ、ムッシュ達に運んでもらった物はこの中さ」
そういうとグラン・マは扉の鍵を開ける
「よかったら大神君も見ていくかい」
「えっよろしいんですか?」
「ああ、ここで会ったのもなにかの縁だし、大神君達だったら問題ないだろう」
「わ〜い。やったねイチロー」
「こりゃあついてるね。あたしも便乗させてもらうよ」
大神の後ろから歓喜の声が飛ぶ。
「まったく、大使にも困ったもんだよ。まあ、私もそのうち見せてやろうと思ってたんだけどね」
「ありがとうございます、グラン・マ、迫水大使」
そしていよいよ・・・・
「それじゃあ、開けるよ」
グラン・マが扉を開く。
「こっ、これは・・・・!!」
大神達の目に飛び込んできたのは、一本の剣( つるぎ )だった
「へぇ〜。噂には聞いていたけど、これはたいしたもんだね」
最初に口を開いたのはロベリアだった。
「グラン・マ。これは・・・・」
「私はあんまり詳しいことはわからなくてねぇ〜。ムッシュ迫水お願いするよ」
グラン・マの言葉と同時に迫水大使が口を開く。
「これはかの有名なアーサー王が愛用したといわれる伝説の聖剣『エクスカリバー』」
「エクスカリバー・・・・?」
「そう、ギリシャ神話では戦いの女神であるアテナが、最も勇敢だった戦士に授けたといわれる代物だよ」
「う〜ん。ボクよくわからないなぁ〜、イチローはわかる?」
「うっ、う〜ん・・・・・」
「まったく、これだからシロウトは。それにしてもみごとなもんだね。それにこの感じ、ただの剣じゃないんだろ」
しばらく眺めていたロベリアの目が光る。
「さすがロベリアさん、いい目をお持ちだ。文献のよれば、この剣の刃は純銀で作られ聖水によって研ぎ澄まされていて、魔を切り裂くための白魔法が掛けてあると言われているんだ」
「白魔法・・・・・?」
(そうかあの護符はこの剣の力をもれない様にするためだったのか)
「・・・・・さて、あんたたち。あんまりゆっくりしてられないよ。そろそろ店を開ける時間だからね」
「あっ、本当だ! イチロー、もうこんな時間だよ!!」
「そうか。じゃあ早くシャノワールに帰ろう」
「はっはっはっ。じゃあ今日は久しぶりに私もシャノワールに寄らせてもらおうかな」
大神達が美術館から出ると外はもう暗くなっていた。
「ねぇ、急ごう。エリカ達、先に帰って待ってるよきっと」
「そうだね。急ごう・・・・」
急いで帰ろうとする一行に、ロベリアが一人立ち止まった。
(なんだこの感じ。誰かに見られているような妙な感じだ)
ロベリアは巴里の悪魔とまで言われた大泥棒だ。普通の人間より勘がきく。大神達が気づかなかった奇妙な視線に感づきかけていた
「どうしたんだい、ロベリア?」
「いやっ。なんでもないさ・・・・・・」
☆ ☆
☆
その夜・・・・・・
いつものようにシャノワールは大繁盛に終わり、大神は全ての仕事を終えロビーでくつろいでいた。
(今日はいろいろあって疲れたな・・・・)
「やあ、大神君。お疲れ様」
「あっどうも、迫水大使。お帰りですか?」
「ああ、そうしようと思ったんだけど、どうだい大神君。一杯付き合わないかい?」
迫水大使が珍しく大神を酒の席に誘う。
「はい、いいですよ。いきましょう」
大神と迫水はバーに入った。
それぞれ好みの酒を注ぎ、乾杯する二人。
「まずは今日一日、ご苦労様、大神君」
「いえそんな、自分こそ、迫水大使には御迷惑をかけてばかり」
「・・・・それはこの前の戦闘の事かい?」
「・・・・・・・・・・」
「あの時、僕はグラン・マと一緒に脱出してしまった。まだメルさんとシーさんが残されていたのにね」
「・・・・・・・・・・・・・」
「悔しかったよ。男として何もできなかった自分が許せなかった。もし、二人に何かあったら、そう思うとね。そして、彼女達を救ったのは僕ではなく君だ、大神君」
「大使・・・・・・・」
「僕は君に何度も救われたよ、だから僕もできるだけのことを君に、そして巴里華撃団のみんなにしてあげたいんだ」
「大使、ありがとうございます」
グラスに酒を注ぎあう二人・・・・・と、そこへ
「おやおや、二人そろって随分楽しそうじゃないか。私も混ぜてくれないかい」
二人の前にグラン・マが現れた・・・・さらに・・・
「おぅ、どうしたんだ、みんな勢揃いじゃないか」
「ジャン班長!」
「おいおい。そんなに驚かなくてもいいじゃないか、俺もいれてくれよ」
こうして珍しい四人組がそろった。
「どうですか、ジャン班長。光武の修理は?」
「ああ、若いやつらも大分タフになってきてな。この分だと次の出撃までになんとかなりそうだ」
「そうですか、よかった」
「ただ、エリカ譲ちゃんの光武F2は損傷がひどくてな。もうちっと時間かからあ」
「なに、ジャン班長は働き者だからね〜。心配はいらないよ、ムッシュ」
「おや、グラン・マが誉めるなんて珍しいですね。ちょっと妬けるな」
「なにいってんだい。私の目にかかる男はそうはいないさ、なあムッシュ?」
「えっ!!」
「はっはっはっ。さあ、もっと飲めよ隊長さん。手が止まってるぜ」
こうして四人の宴は続いた・・・・・・
(なんか胸が騒ぐね・・・・・)
赤い月を見上げ、ふとそんなことを思っているのはロベリアだった、あれからずっと、なにかを感じているようだった。
(やっぱりなんか気になる。ちょっと行ってみるか)
ロベリアは闇の中に消えていった・・・・とちょうどその時。
「へ〜、そうだったんですか。いいな〜、私も大神さんとルーブル美術館に行きたかったな〜」
「でも、途中でロベリアが出てきて邪魔してくるんだもん。ほんといじわるだよね。ロベリアって」
「そうかなぁ〜。ロベリアさんは、とってもいい人だと思うけどなあ〜」
「もう〜、エリカは騙されてるんだよ〜」
コクリコとエリカが歩いてきた。どうやらサーカスに帰るコクリコをエリカが送っているようだ。
「あれ? ねえ、コクリコ。あれロベリアさんじゃない?」
「えっ! あっ、ホントだ。どこにくんだろう、こんな時間に」
二人の少し前をロベリアが通り過ぎていく。
「おかしいですね〜。いつもはあっちでお酒飲んでるのに・・・」
「・・・・・なんか怪しい。ボクちょっと追いかけてみる」
「えっ、まってよ、コクリコ!」
こうしてロベリアをつけていく事になったコクリコとエリカ。
しばらくの尾行の末ロベリアがたどり着いたのはあのルーブル美術館だった。
「こんなところに、なんの用なんでしょうね〜」
「しー、ちょっと黙っててエリカ・・・」
ロベリアはあたりを見回している。コクリコ達のことはどうやら気づいているようだ。
「もしかして、ロベリア、あの剣を盗むつもりじゃないのかなあ」
「ロベリアさんはそんなことしませんよ、私止めてきます」
「えっ! ちょっ、ちょっとエリカ〜〜〜〜〜!!」
エリカがどびだす。コクリコはそれを止める事ができなかった。
「ロベリアさん、剣を盗むなんてだめです。ロベリアさんには剣なんかより、マリアさんみたいな銃のほうが似合いますよ」
「エッ、エリカ・・・・・・」
ロベリアに叫びかかるエリカ。しかしロベリアは意外な言葉を叫ぶ。
「動くな。エリカ、静かにしてろ・・・・」
「へっ・・・・・・・」
エリカを止めたロベリアはルーブル美術館の方に目をやる。
「おいでなすったな・・・・」
「えっ、なになに!?」
ただならぬ雰囲気にコクリコも出てきた。目を凝らしてみてみるとルーブル美術館から誰か出てくる。
「誰かいる!!」
「えっ、何よくみえませんよ」
でてきた影が宙を舞い、月明かりに照らされる。
「! あっ、あいつは・・・・・」
「ふっ。やっと出てきやがったな!!」
コクリコとロベリアが反応する。エリカはきょとんとしている。そう月明かりに照らされ現れたのは、あの男。大神達が初めて遭遇したあの怪人だった。
そして、その男の手にはあの剣が握られていた。
「あっ、あれ、あの剣持ってる!!」
「そういうことか。逃がしゃしないよ!」
「あっ、ロベリアさん。待って下さいよ」
飛び去ろうとする怪人にロベリアが走り出す。その後をコクリコとエリカが追う。
「くそっ。なんて速さだ・・・」
怪人は剣を背負っているのにもかかわらず、信じられない速さで走り抜ける。
「逃がすかよ!!」
ロベリアが慣れた動きでビルの上に飛び上がっていく。
「うわあ、すごいです。ロベリアさん!」
「おまえらは足手まといだ。帰って隊長にこのことを伝えな!」
「だっだめです、ロベリアさん。一人を行かせる訳には行きません」
「そうだよ。ボクだってこれくらい・・・・・・」
コクリコが持ち前の身の軽さで飛び上がっていく。
「ねっ、ボク、足手まといじゃないでしょ」
「ふん。じゃあ、あいつはどうすんだ?」
「コクリコ〜。私こんなとこ登れないよ〜」
エリカが一人取り残されてしまった。
「エリカはシャノワールに戻ってイチローを連れてきて〜。ボクはロベリアと行くからさ〜」
「で〜も〜〜」
「だいじょうぶ。ロベリアにはボクがついてるから心配しないで〜!!」
「わかった。無理しないで下さいね、ロベリアさん、コクリコ」
怪人を追うロベリアとコクリコ。しかしその差はひらくばかりだった。
「くそっ、まちやがれ!!」
「まてーーー!!」
ロベリア達の叫びを聞いた怪人は足を止める。
「とっ、止まった・・・・」
「ほう・・。いいね〜、そうこなくちゃな・・・」
ロベリアの手に真紅の炎が灯る。
「これでもくらいな!!」
炎が集まり火球となって放たれる・・・・が、しかし・・
「ふんっ!!」
怪人が手をかざす。すると、怪人の前になにか黄色い壁のような物ができ、ロベリアの火球を消し去った。
「うっ、うそ・・・・・・」
「くっ、やってくれるじゃないか・・・・・」
脅えるコクリコ。さすがのロベリアも動揺を隠し切れない。
「はあぁぁ〜〜〜〜〜〜・・・・・」
「「!」」
いやな風が二人を包む・・・・
次の瞬間、眩い光と共に白い閃光が二人に降り注いだ。
「ぐっ〜〜〜〜」
「うわあぁぁあ〜〜〜」
ロベリアとコクリコは辛うじて攻撃をかわす。
「くそっ、この野郎!!」
「ロッ、ロベリアーー」
「うるさいな。なんだこんな時に!」
「たっ、助けて〜〜〜」
見ると、さっきの攻撃で足場が崩れ、コクリコが今にも落ちそうな状態になっていた。
「このバカ、なにやってんだ!」
あわてて駆け寄ろうとするロベリア。しかし、無情にも敵の攻撃の方が早かった。
「うわああ、落ちる〜〜〜〜〜」
「くっそ〜〜〜・・・・・」
どうなったんだろう・・・ボク死んじゃったのかな・・・・・・
なんにも感じない。でも、なんだろう、すごく・・・・・・・
おいっ。しっかりしろ、おいっ!
誰かの声が聞こえる・・・・いったい・・・・だれ・・・・・
「おいっ。しっかりしろ、目を覚ませ、おいっ!!」
「ロ・・ベ・・リ・・ア・・・・・」
「・・・・・やっと目が覚めたか。心配させやがって」
「ロベリア! ここどこ、あいつは!!」
起き上がろうとするコクリコ。同時に全身に激痛が走る。
「・・・・・・っ」
「あんまり動かないほうがいいぜ。全身を強く打ってるからな、まあ助かっただけ運がいいがな」
「ロベリアが助けてくれたの?」
「えっ・・まっ、まあな・・・・・・・」
コクリコは薄れ薄れの記憶を辿る。
(そう、ボクはたしか怪人の攻撃でビルから落ちそうになって・・ううん、落ちちゃったんだよな、たぶん・・・・でどうなったっけ・・・・)
まだ記憶が混乱しているのかよく思い出せないコクリコ。
「ねえ、ロベリア、ボク・・・・・」
「しっ、静かにしな」
ロベリアの目が鋭くなる。
「どうしたの・・・・?」
「奴だ・・・・・」
「えっ・・・・・!?」
息をひそめる二人。足音が徐々に近づいてくる。
「おまえはここにいろ。絶対動くなよ!」
「でもっロベリア!」
「うるさい。言うとおりにしな」
言い終えるより早くロベリアが飛び出して行く。
「ロベリア・・・・・・」
コクリコは後を追おうとしたが、その意志とは逆に体はピクリとも動かなかった。
「うっ・・・・・・」
急に手に冷たさを感じた。
「雨・・・・・・・・?」
星空にいつのまにか暗雲がたちこめ、大粒の雨が降り出した。
その雨の下、緊張とどこかスリルのような物を感じながらロベリアは立っていた。
向かいにはあの怪人が立っている。その顔はどこかにやけていた。そう、あの時と同じだった。初めて見た時のあの顔と・・・・・・
(ちっ、雨か。こんなときに・・・・・・・)
ロベリアの力。それは自然発火。通称『クロスファイア』という能力で何らかの力(霊力)により大気を摩擦させ熱を生むという物だった。
この能力の用途は幅広く、実際この力があったからこそ、ロベリアは『巴里の悪魔』の異名をとれたといっても過言ではない。
しかし、弱点がない訳ではない。先に記したとおり大気の摩擦熱を利用しているつまり、雨などにより大気の湿度が高くなると、その威力は半減してしまい精度も低くなってしまうのだ。さらに言うと、これだけの芸当をするにあたり術者の精神力は急激に削られてしまう。
つまりは今の状況はロベリアにとって最悪と言えるのだ。
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
沈黙と静けさの中、雨音だけがやたらと響く・・・・・
(くっ、なめやがって。仕掛けてくるのを待ってやがるのか・・・・・)
掌に力を溜めるロベリ。ア向こうに動きはない・・・・・
「この野郎、くたばんなーーーー!!」
放たれた火が炎となり怪人の体を覆い尽くす。
「うおおおお〜〜〜」
炎を放出しつづけるロベリア。この状況下でこれだけ持続的に力を使えるのは、やはりロベリアの驚異的な精神力によるものだが、限界はある。
だんだんと威力が弱まり、とうとう消えてしまった・・・・・・
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・やった・・・のか・・・・・?」
強力な炎で大量の水蒸気が発生し、視界をさえぎる・・・・・・
「・・・・・・・・!!!」
最初に何か光ったのが見えた、その次の瞬間。急激な体のしびれと意識が飛んでいくのを感じた。
「・・・・・・なにを・・・しやがった・・・・・」
その場に倒れこむロベリア。その上に情け容赦なく降り注ぐ雨・・・・・
「そっ、そんな、ロベリアーーーーーーーーーー!!!」
コクリコの悲痛な叫びが響き渡る。もちろん敵の耳にも入っている。
「・・・・バカ・・・静かにしてろって、いっただろうが・・・・・」
「ロベリア、しっかりしてよ!! ロベリア!!!」
叫ぶコクリコ。しかし、体は動こうとしない。やがて、水蒸気がはれ、怪人が姿をあらわす。あれだけの高熱にさらされながらも、全くダメージを受けてない。どうやら、またバリアをはったようだ。
「うぅっ・・・・・・・・・・・」
ロベリアは今一度炎を出そうと試みるが、もはやそんな力が残ってるはずもなかった。一歩、また一歩と怪人が歩いてくる。その顔は獲物を手中に収め満足しているハンターそのものだった。
「にっ、逃げて、ロベリア。やられちゃうよーー!!」
「くっ・・・・くそ・・・からだが・・・・・うごかねぇ〜・・・・」
( そんな・・・・こんなのやだよ・・・・だれかロベリアをたすけて・・・イチロー・・・・)
怪人がロベリアの前で止まる。
意識が遠く感じる・・・雨音がまるで耳なりみたいだ・・・・これまでやばい橋もなんどか渡ってきたけど、さすがに今回はダメか・・・・・・・
ロベリア!!
うるさいな・・・・だれの声だ・・・・
起きてよ、ロベリア!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ロベリアさん、そんなとこに寝てたら風邪ひきますよ。
・・・・・はぁ!?
ほら起きてくださいよ〜、ロベリアさ〜ん。
ちょっとまて、だれだ、おまえ!!
さあこっちです・・・
なんだこの光は。この暖かさは・・・・これはあの牢獄の中で見た光・・・
「!」
「あっ、よかった。気がつきましたね、ロベリアさん!!」
「ロベリアーーー!!」
半泣きになったコクリコがロベリアに抱きつく。
「おいっ、なにやってんだ。はなせ!」
「わ〜、よかったよかったよ〜、ロベリア〜〜」
「ああ、もうわかったから、はなせって!!」
「ああ〜、ロベリアさん、もしかして照れてるんですか〜?」
「うっうるさいな・・・そうだ、それより奴はどうした!?」
「あいつはね、エリカが倒しちゃったんだよ」
「えっへん。倒しちゃいました!!」
「何っ!?」
エリカとコクリコの話によると、ロベリアがやられる絶体絶命の時、偶然通りかかったエリカがコクリコの悲鳴を聞き、かけつけたのだと言う。急な不意打ちで怪人はバリアもはれず、エリカの銃弾をもろに受けたとか・・・・
「ちゃんと剣も取り返したんだよ!」
コクリコがロベリアに剣を見せる。
「ほらあそこで寝てますよ」
エリカが自慢げに指をさす、しかしそこには何もなかった。
「エッエリカ! いない、いないよあいつ!!」
「何だと!!」
ロベリアが慌てて立ち上がる。
「くそっ、どこいった」
「あっ、あそこ!!」
コクリコが上の方を指さす。ビルの上に一瞬影のような物が見えたが、すぐ消えてしまった。
「あっ、逃げちゃいましたよ!」
「くそっ。ここまでされて逃がしてたまるか!!」
追おうとするロベリア。しかし、なにかが背中にしがみつく。
「おいっ、はなせ!!」
「ダメ。絶対はなさないよっ!!」
「そうです、ロベリアさん。独りで行くなんて無茶です!」
「うるさい、いいからはなせ!!」
「ボク、絶対いかせないよ。もう、これ以上ロベリアを危険な目にあわせたくないんだ!!」
「私も、ぜ〜ったいはなしません!!」
「おまえら・・・・・・」
さすがに観念したのかロベリアがその場に座り込む。
「ふぅ〜、よかった・・・・」
「・・・・・・・ったくよ〜」
「あっ、そうだ。ロベリアさん、今のうちに・・・・」
エリカがロベリアに手をかざす。すると金色の光が放たれ、ロベリアを包む。
「この光は・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・天使か・・・・」
「えっ、何か言いましたか?」
「いっ、いや・・・・・」
「エリカの力ってすごいよね。ボクもすぐ元気になったし」
「違いますよ、コクリコ。これは私の力ではありません、神様の力です!」
「えっ、ああ、そうなんだ・・・・・」
おもむろにロベリアが立ち上がる。
「よし、おまえら、急いでシャノワールに戻るぞ」
「「えっ!」」
「急がねぇ〜と奴等が戻ってくるぞ!」
「戻ってくるって・・・・それに、奴等ってどういう意味なんですか?」
「あいつはやられたまま引き下がるタイプじゃない。絶対戻ってくる。しかも今度は、あのダースを引き連れてな!!」
「どうしてそんな事わかるの?」
「な〜に悪党の勘ってやつさ・・・・・」
ロベリアの言葉には説得力はなかったが、その真剣な顔に、エリカとコクリコも理解した。
「わかった。ボク、ロベリアを信じるよ」
「私も信じてます。さあ、急ぎましょう!!」
☆ ☆
☆
「また怪人がでたんだって!」
「はいっ。今、ロベリアさんから連絡がありましたぁ。どうやら一番最初に目撃された怪人だそうですぅ〜」
「グリシーヌさま達が到着しました。作戦司令室に集合します」
ロベリア達の連絡を受けた大神は、急いでグリシーヌと花火に連絡を取り、作戦司令室で待っていた。
「みんな、大変だ。ルーブル美術館に怪人が現れた。しかも一番最初に目撃された奴だそうだ」
「ついに出てきたか。今度こそ我らが力を見せてくれる!」
「大神さん、エリカさん達は?」
「エリカ君達とは現地で合流する。メル君、三人の正確な位置わかるかな?」
「はい、みなさんが持っている携帯キネマトロンには発信機が内蔵されています。エリカさん達はルーブル美術館より1500m離れたR−25地点にいます」
「ジャン班長、光武の修理は・・・・?」
「すまねぇ〜、隊長さん。まだ終わってないんだ。隊長さんの光武2式はなんとか出れそうだがエリカ譲ちゃんのF2はまだ無理だ!」
「そんなどうしますぅ、大神さん・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・しかたない今回はエリカ君抜きでやるしかない。みんな苦しい戦いになるかもしれないが、諦めずに俺についてきてくれ!」
「ふっ。たとえエリカがいなくとも、我々は負けん。私はいつでもいけるぞ、隊長!」
「私も大神さんについていきます・・・・・・・・・・ぽっ」
「・・・・みんなありがとう。よし、巴里華撃団出撃!! 現地にてエリカ君、ロベリア、コクリコと合流、現れた怪人を殲滅する!!」
「「了解!!!」」
ゴオオオーーー・・・・・・・
高速で走るエクレール・・・・エリカがいないという過酷な戦いの前に大神がおもう事は・・・・・・・
( ・・・いかん・・・・・飲みすぎたか・・・・・めまいがする(笑)・・・・・・・・)
ルーブル美術館から少し離れた広場。ロベリアの予想どおりダースが徘徊していた。その近くにあの怪人もいる。
「借りを返しに来たぜ!!」
ボンッボン・・・・・
「「「「「巴里華撃団参上!!」」」」」
爆炎と共に5体の光武が現れる。そこにエリカ機の姿はない。
「おらおら今度こそ借りを返してやる。そんなとこにいないで前に出てこいよ!!」
ロベリアが怪人を挑発する。それに応えるように怪人が大神達の前に立つ。
「ううう・・・・・・・・・・」
「!」
眩い閃光が怪人を包む。その中から銀色をした魔導騎神が現れた。
「くっ・・・、みんな、気をつけろ。こいつは手強いぞ!」
一度この魔導騎神と戦った事のある大神は、敵の力を警戒していた。まして、今回は回復役のエリカがいない事で分が悪いと言える。
「ふんっ。びびってんのか隊長。こいつには、いろいろと恨みがあるんだ。しかけないなら私がいくよ!!」
「待てロベリア!!」
大神の声も聞かずロベリアが敵の魔導騎神に斬りかかる。しかし、やはりなにかバリアのようなものが攻撃を遮る。
「くっ・・・・またこれか!!」
体制を崩したロベリア機をダースが襲う。
「こっ、こいつ・・・・!」
「ロベリア!!」
大神が間一髪、ロベリアを助ける。
「大丈夫か、ロベリア!!」
「ああ・・・・・たすかったぜ、隊長・・・・」
「敵の力は強力だ。焦らず陣形を組んで戦うんだ!」
「そうだよ、ロベリア。一人で無茶しちゃダメだよ!」
「そうだ。私たちはチームで戦っているのだぞ!」
「大神さん、来ます!!」
ダースが一斉に迫ってくる。怪人の魔導騎神は何もせずに立っている。
「くっ・・・『山』作戦でいく。みんな、機体のダメージに気をつけるんだ!」
「「「「了解」」」」
「はあああぁぁぁ〜〜・・・」
グリシーヌがダース群をなぎ倒していく。
「こいつ、くらえ!!」
「え〜いっ!」
ロベリアとコクリコが魔導騎神に攻撃を続ける。しかし、敵のバリアは魔導騎神を囲むように構成されていて、全く攻撃をうけつけない。
「くそっ、これでどうだーー!!」
ロベリア達と共にダースの掃討に当たっていた大神が上空から斬りかかる。だがやは
りバリアを突き破る事は出来なかった。
「くっ・・・・・・・」
「隊長!」
「大神さん・・・・」
ダース群をあらかたかたずけたグリシーヌと花火が、大神機を抱き起こす。
「う〜〜〜〜〜〜〜・・・・・・」
「!」
空の暗雲がざわめき、雷鳴が轟く。
「・・・・・・・何か来る!!」
異様な妖力の高まりを感じた大神達が一斉に身構えるが、間に合わなかった。
閃光が走り稲妻が怪人の魔導騎神に落ちる。いや、吸収されていると言ったほうがいいだろう。稲妻をあびて発光する魔導騎神、その各部のパーツが開き全身から雷が放出される。しかも、雨で濡れた地面を走り、大神達の逃げ場を奪う。
「ぐああああぁぁぁ〜〜〜〜!!」
「きやぁぁぁああ〜〜〜〜〜!!」
四方八方、さらに地面まで伝ってくる雷が大神達を襲う。避ける事も防御する事も出来ないこの電撃攻撃は、光武だけでなく搭乗者である大神達にもダメージを与える。
「ぐっ・・・・・・・・・・」
地面に倒れこむ大神達。光武もところどころから火花を散らしている。
(いかん、ダメージが大きすぎる。回復しなければ・・・・・)
大神が回復行動にでようとするが、敵の攻撃のほうが遥かに早かった。雷は光線の次に速く、それを直に吸収し攻撃してくる敵の技は、大神のそれと比べ物にならなかった。
「ぐっ・・・・・・このままでは・・・・」
すでにグリシーヌ達は立ち上る事も出来なくなっていた。
「諦めてはダメです!!」
上空から光の羽を撒き散らしながら赤い光武が現れた。エリカ機である。
「エリカ君!!」
「「「「エリカ!!」」」」
エリカ機がマシンガンを連射する。それを受けて敵の魔導騎神が少し怯む。
「守護の天使、エリカ・フォンティーヌ参上!!」
着地と同時に眩い光を放ち、大神達を回復させる。
「エリカ君、光武、直ったんだね!」
「はい! ジャンさん達ががんばってくれたみたいで。でも、急ごしらえだから無理するなっていってました!!」
「エッ、エリカ君・・・そんな重大なことをさらっと・・・・・」
「隊長! 奴が動くぞ!!」
エリカの攻撃で怯んでいた敵の魔導騎神が、ようやく立ち上る。
(どうやら奴自身の防御力は低いみたいだな・・・・まてよ、どうしてエリカ君の攻撃は当たったんだ?)
「イチロー、危ない!!」
再び稲妻が落ち、それを吸収して魔導騎神が雷を放つ。
「ぐあっ・・・・・・・そっ、そうか!」
「何かわかったんですか、大神さん?」
「奴の弱点が分かったぞ!」
「・・・・・弱点?」
「そうだ。さっきあれだけ俺達の攻撃は全く効かなかったのに、なぜかエリカ君の攻撃だけは奴のバリアをこえてダメージを与える事が出来た」
「そういえば・・・・なぜでしょう?」
「奴は稲妻を吸収するために真上の部分にはバリアがはられていないんだ」
「そうか! だからエリカの上空からの射撃は効いたって訳か・・・・・・」
「奴の真上に出られれば、こちらにも勝機はある!!」
「よしっ、そういうことなら・・・・・・」
ロベリア機がおもむろに振りかえる。
「跳べ! チビ!!」
「えっ・・・・!!」
「いいから早くしろ!!」
「・・・・・・・うんっ!!」
コクリコ機がロベリア機を踏み台にして、敵の魔導騎神の真上に跳ぶ。
「よし! みんなでコクリコの援護。注意をこちらに引き付けるんだ!!」
「了解! エリカ撃ちます!!」
「てやああぁあぁぁ〜〜!!」
「燃えろ〜〜〜〜〜〜!!」
3人の必死の攻撃も、やはりバリアに阻まれてしまう。
「くっ。やはりだめか・・・・花火君、弾幕を!!」
「承知しました・・・・・北大路花火・・・・二の舞・・・落花締鳥・・・!!」
花火の攻撃が砂埃を起こし敵の視界を遮る。
「今だ! コクリコ!!」
「うんっ!!」
ちょうど魔導騎神の真上にきたコクリコ機から光が放たれる。
「仔猫のショーがはじまるよ・・・マルシュ・シャトン!!」
コクリコの霊力により作り出された巨大な猫、通称『ニャン・ニャン』が現れ真下にいる魔導騎神に強力な霊圧をかける。
「ぐうぅぅぅ〜〜〜〜・・・・・」
大神の推測どおり真上からの攻撃には効果があるようだが、敵の魔導騎神はまだ立っていた。
「くっ・・・・・だめなのか・・・」
「いや・・・・まだ、おわっちゃいないぜ・・・・」
ロベリアの確信の言葉と共にコクリコが追撃する。
「コクリコ、キ〜〜〜ック!!」
コクリコの強烈な跳びげりが入る。これにはさすがの魔導騎神も吹き飛ばされる。
「ぐっ、ぐぐ・・・・・・・・・」
立ち上ろうとする魔導騎神の前にロベリア機が立ちはだかる。
「あたしゃ借りを作ったままってのは、性に合わなくてな・・・・・」
ロベリア機の爪に炎が宿る。
「これでチャラだ。くらいな!!」
ロベリア機の強烈な一撃が魔導騎神のはらわたを抉る。
「ぐはっ・・・・・・・・・・」
腹部から火花を散らせ、敵の魔導騎神がうずくまる。
「これでとどめだ!!」
ロベリアがとどめをさそうとした、その時。
「そうはさせません!!」
突然、ロベリア達を炎が襲った。
「・・・・・・っこの攻撃は!!」
案の定、大神達の前に赤い魔導騎神が現れた。
「ラジース!!」
「ほぅ。名前を覚えているとは感心ですね、大神一郎」
「貴様ら、やはり仲間だったのか!?」
「そうそう。紹介が遅れてましたね・・・。コイツの名前はグライド。我々と同じ魔血四騎臣の一人でね。無口な上に遊び好きで、たびたび勝手に狩りに出てしまってこっちでも手を焼いているんだよ」
「くっ・・・・だったら、貴様もここで倒す!!」
「ふっ・・・・いいだろう、この左手の恨みはらしてくれる!!」
ラジースの左腕は大神に斬られたままのようだ。ラジースは残った右腕から炎を打ち出す。
「ぐわああぁぁぁ〜〜!」
いままでダース群グライドの魔導騎神と戦ってきた大神達は、もはやラジースに対抗するだけの余力はなかった。
「おっ、大神さん・・・・・」
「イッ、イチロー・・・・・・」
「おのれ・・・卑怯な・・・・・・」
「大神さん・・・・・・・・・」
「くそっ、このままでは・・・・・・・」
「ふはははは、燃えろ、燃えてなくなれ〜〜〜!!」
「・・・・・・・調子に乗るなよ!!」
「・・・・・何!!」
なんとロベリアがラジースの炎を押し戻している。
「ロッ、ロベリア・・・・・」
「情けない声だしてんじゃないよ、隊長。こんなふざけたやろうにアタシ達が負ける訳がないだろうが!!」
「そうです! ロベリアさんの言う通りです。私たちは絶対に負けません!!」
「ロベリア、かっこいい!!」
「ふっ・・・、まさかロベリアに励まされるとはな・・・・」
「大神さん、私もいきます・・・・・・・」
「そうだ。俺達は絶対諦めない、この巴里を守るために!!」
ロベリアの強気な発言でみんなの士気も上がってきた。それと同時に霊力も上昇している。
「このまま押し切る!!」
ロベリアの炎が次第にラジースの炎を圧倒していく・・・・
「くっ・・・ばかな・・・この私が・・・・・・・・」
「ふんっ。このアタシに炎で挑んだのが失敗だったな・・・・炎の釘で閉じ込めてやる!!」
ロベリアの炎の出力がさらに増し、ラジースの魔導騎神を取り囲んでいく。
「カルド・プリジオーネ!!」
ロベリアの炎がラジースを包み大きな火柱を上げる。
「ぐわあああ〜〜〜・・・・・・おのれ、左手さえ使えれば・・・・・・」
「負け惜しみかい。しぶとい奴だね・・・・隊長、とどめだ!!」
「よし! みんな最後の力を振り絞れ!!」
大神につづき、エリカ達の光武が飛び掛かる。
「ドッカーン!!」
「グロース・ヴァーク!!」
「マジーク・ボンボン!!」
「北大路花火・・・・一の舞・・・・金枝玉葉!!」
四人の攻撃が直撃する。
「おっ、おのれ・・・・この私が・・・・この・・・・・」
「ラジース、貴様の負けだ!! 浪虎滅却・・・快刀乱麻!!」
大神の渾身の一撃がきまる。
「ぐっ・・・・・私に勝ったくらいで、いい気になるなよ・・・・おまえらを待つのは、更なる恐怖、更なる地獄・・・覚えておけ、貴様らはいずれ負け・・そして死ぬのだーーー!!」
ラジースの魔導騎神が爆発する・・・・
「・・・・・やった・・ついに怪人の一人を倒したぞ!」
「大神さん!!」
「大変だよ、イチロー。あの白い奴がいない!!」
「何・・・・・!!」
いつのまにかグライドの魔導騎神の姿が消えていた。どうやら、炎にまぎれて逃げたらしい。
「どうする、隊長。あの傷じゃ、そう遠くに逃げられないはずだが・・・・・・・」
「いや、こっちの消耗も激しい。悔しいが諦めよう・・・・・」
「まあ、一人には逃げられたけど、もう一人には勝てた訳だし・・・アレやりましょうよ」
「うん、やろうやろう・・・そうだ、今回はロベリア言ってよ!」
「そうですね・・・・・今回はロベリアさんがいたからこそ、勝てたような物ですし・・・・」
「えっ! アタシかい!?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、いいけどよ・・・・・・・」
「じゃあいくぜ・・勝利のポーズ・・・・・・」
「「「「「「決め!!」」」」」」
☆ ☆
☆
「ねぇ〜・・・ロベリア・・・・・」
「んっ、どうしたチビ・・・・・・」
「ボク、ロベリアの事誤解してた・・・ただイジワルなだけだと思ってたけど、本当は結構やさしいんだね・・・・今日はとってもかっこよかったし・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・ねえ、ロベリア・・・・・」
「んっ、何言ってんだ、おまえ・・・・・・・」
「あ〜〜、またお金持ってる〜〜〜!!」
「あたりまえだろ。今回、怪人倒すのに一番貢献してんのは誰だと思ってるんだい。このくらいのボーナスは決まってるだろ!」
「もう・・・・やっぱ、ロベリアはロベリアだね・・・・・」
「んっ、なんだよそれ。気持ち悪いな・・・・・さあ〜て、稼いだ金で朝まで飲み明かすか!!」
「フィリップ・・・・・あれから、もう2年になるのですね・・・・・・・・ 次回サクラ大戦 血塗られた戦い 「忘れえぬ人」
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■感想がありましたら、こちらからどうぞ。 ■些細な一言で構いません。メッセージお願いします
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