照和四六年四月。
大帝國劇場。
コンコン
支配人室の扉を叩く音がする。
「おう、開いてるぞ」
「失礼します」
扉を開けて入ってきたのは、碧眼金髪の白人であった。
「ドイツ連邦陸軍少尉、エーリッヒ・フォン・マイヤー出頭しました」
報告相手は、目の前に座っている男。
彼こそは帝國海軍元帥にして、先の世界大戦で日本に勝利をもたらせて立役者。ネルソン、東郷と並び、世界三大提督と呼ばれている人物だ。
だが、その佇まいは、どこにもいるような人のよさそうな老人にしか見えない。
「どうした?」
「え、いえ、なんでもありません」
「そんならいい。じゃあ、まず、こいつに着替えろ」
エーリッヒに服が差し出される。
「これは……!?」
「おめーさんみたいに軍服じゃ目立ってしょうがねぇじゃないか」
「なるほど」
帝国華撃団は秘密部隊と聞いている。
確かに軍服ではあからさまにすぎると納得した。
「それでな。そいつに着替え終わったら、おめぇの最初の任務をやってもらう!」
「ヤー(はい)!」
カチッと踵を鳴らすドイツ式の気を付けをする。
「玄関にいき、そこでモギリをしろ」
「は!?」
「なんだ。俺の命令に従えねぇってか?」
「い、いえ。そうではありませんが……」
「じゃあ、ちゃちゃっと準備してこい!」
「ヤー!!」
エーリッヒは訳が分からないといった表情のまま、慌てて部屋を出ていった。
「うふふふ。ちょっとやりすぎじゃないですか?」
ずっと傍らに立っていた女性が口を開いた。
「そんなことないさ。俺もだって、こうだったんだからね」
「そうですね、大神一郎総司令」
「君たちだって、一枚噛んでいたじゃないか、大神さくら副司令どの」
「もう、あなたったたら」
帝撃は健在なり。
一騎当千の兵とともに。