愛の戦士たち(第6話) 作・島崎鉄馬 |
第六話「隠された過去」
新撰組の公演は無事に終了。この先の公演は秋まで無かった。花組隊員たちはそれぞれ敵の来襲に備えて各自にあった訓練に励んでいた。
マリアは射撃、すみれは薙刀、アイリスは寝て、紅蘭は神龍の整備、カンナは空手、織姫はピアノ、レニはランスといった具合であった。
大神とさくらは中庭で剣を交えていた。
2人とも入隊当初に比べれば格段に進歩している。
長い時間打ち合った後、2人は木陰で休んだ。
「さくらくんも随分上達したね。」
「いえ・・大神さんがあたしの稽古に付き合ってくださるからですよ。あたし一人だと、どうしても実戦形式でやることなんて出来ませんから。」
「いやぁ、さくらくんが本気を出したら俺は負けるよ。」
「・・そうですか?少し買い被りすぎですよ。だって、松平さんにはまだまだ半人前だって言われるし。」
「ははは・・・中佐は剣術にはうるさい人だからね。俺も士官学校時代にはよくしごかれたものだよ。とにかく強かったからね。」
「・・・・そう言えば、松平さんて、この頃何をなさってるんですか?」
「・・・さあ?・・・・このところすっと見てないけど。」
浩忠はずっと自室に閉じこもっており、食事時になっても部屋を出てこない。時折部屋の前を通ると怪しげな経文が聞こえるという。
「中佐にはわからないところが一杯あるからね。」
「大神さん、前から聞こうと思ってたんですけど・・・・」
さくらの顔が堅くなっている。
「松平さんの家族が居るという話は聞いたことありますか?」
「え?・・・ああ、両親は亡くなられたけど、確か弟が一人いるよ。全然似てないけどね。」
「そうですか。・・・・・」
さくらは真剣な表情をして何か考え込んでいる。
「どうしたんだい?」
「・・・・あたし、ちょっと松平さんとお話してきます。大神さん、稽古に付き合って下さってありがとうございます!」
猛ダッシュで中庭を去って行った。
(何なんだ?あんなに慌てて・・・)
さくらは浩忠の部屋をノックした。
「誰だ?」
「さくらです。ちょっとお話したいことがあります。」
「・・・・・入れ。」
ドアを開けると中は薄暗く、部屋の中央に浩忠が禅を組んでいる。
「何の用だ?」
まったく愛想の無い話し方だ。
「お聞きしたいことがあります。」
さくらは浩忠をじっと見つめている。
「松平さん・・・あなた・・・本当は違う名前でしょう。」
「何ぃ?」
「あなたの本当の名前は真宮寺鉄馬。あたしの兄です。」
「バカを言うな。俺には弟しか居らん。」
「その弟さんとあなたは、全然似ていないそうじゃないですか!」
「似てなければ兄弟では無いのか?」
浩忠は顔色一つ変えずにさくらを見つめている。
「出て行け。瞑想の邪魔だ。」
「松平さん!」
浩忠はさくらを鋭い目つきで睨みつけた。
「邪魔するな、去れ!」
「はい!」
思わず外に出てしまった。
その日の夕方。花組は全員で夕食をとった。ただし、浩忠の姿は無い。
「いっただきまーす!」
大神の合図と共に、食事が始まった。
「そう言えば、中尉。松平中佐はまたお部屋に閉じこもっておられますの?」
「少しくらい日に当たらないと、モグラになってしまいまーす。」
すみれと織姫に何と答えてよいのかわからなかった。
全員で食事をとることは大神が決めた花組の日課。しかし浩忠は朝・昼・夜、いずれの食事にも顔を出さない。
花組内部には不満を抱くものも居る。
「松平のお兄ちゃん、何か出てきたくないみたい。アイリスたちに、何か隠してる。」
「アイリス、また心を読んだの?」
レニの質問にアイリスは黙り込んでしまった。やたらに心を読んではいけないと大神に言われているからだ。
「だって・・・」
「とにかく、副長の様子が変なのは、確かね。」
「ああ、ありゃぁ、どう見ても変だぜ。」
「松平はん、ウチらには何も話してくれへんからな。」
花組の話題は浩忠のことで持ち切りだ。しかし、さくらだけは話に入ろうとしない。あえて避けているといった感じだ。
「さくらくん、さっき浩忠と何を話したんだい?」
大神が小声で話し掛けてきた。
「・・・・その・・・別に大した事じゃないんですけど・・・話す前に追い出されちゃって・・・」
まさか浩忠を自分の兄と思っているなんて言えない。さくらは大神に初めて嘘をついてしまった。
他の花組の面々はどうすれば浩忠が喜ぶかという話題に変わっていた。
「パーティーなんてどうでしょー?中佐さんのために私たちが開くんでーす。」
「副長の何を祝うのさ?」
浩忠の誕生日は12月11日。遠すぎる。
「じゃあ、花やしきに連れて行ったらどうやろか?」
「あの中佐が、そんなことで喜ばれるわけないでしょう?」
浩忠の性格からしてはしゃぐタイプじゃないことはみんな知っている。
「なあ、隊長。副長って、何が好きなんだ?」
カンナに突然の指名に、皆の視線が大神に注がれた。
「確かに、隊長なら副長と一番付き合いが長いから、何か知ってるかも・・・」
「そーだよ。お兄ちゃん、何か知ってるんじゃない?」
「アイリス、力使っちゃだめよ。」
「わかってるよ。アイリス、子供じゃないもーん。」
大神は困り果てていた。
確かに自分と浩忠は一番付き合いが長い。しかし浩忠がまともに大神に笑顔を見せたことはほとんど・・・と言うよりまったく無い。
(中佐の好きなこと・・・・・・)
「剣術・・・でしょう。」
口を開いたのはさくらだった。
「松平さん、新撰組の池田屋騒動のシーンの時、凄く楽しそうでした。もしかしたら、剣道の練習試合をしたら、いいんじゃないかなって?」
「・・・・出稽古ってやつか・・・どうだい、隊長?」
さくらの言うことはあながち間違ってはいない。
士官学校時代、剣術の授業の時の浩忠の顔は実に活き活きしていた。
しかし大神の頭には一つの疑問が残った。
なぜ、さくらにはそれがわかったのか。
新撰組の公演の時だけならカンナだって気付くはず。しかしさくらはあたかも知っていたかのように話した。
「隊長、どうかなさいましたか?」
見るとマリアが顔を覗き込んでいる。
「あ・・・その、いいと思うよ。中佐はとても剣術が大好きだから。」
「よし、決まりだぜ!!」
「早速、近くの道場に連絡とるでーす!」
「善は急げや!明日にでも試合するで!」
花組隊員たちは勝手に浩忠のスケジュールを変更させた。
翌日大神、さくら、浩忠の3人は近くの剣道道場へ出稽古へ出た。
「やあぁっ!」
バシイィィッ!!
「一本!それまで!!」
互いに一礼し、竹刀を納める。
「・・・見事だよ、さくらくん。」
面の下から現れた顔はさくらだった。大神もさくらも道場の生徒達を悉く倒していた。
「さくら、まだ一撃一撃の重さが足りんぞ。」
浩忠は剣術のことになると誰にでも説教をする。
「大神が剣の達人になったのも俺の指導があってこそ」と浩忠は言うが、大神はもともと剣術の才能はあったのだから、それでなくても強くなれただろう。
「中佐も相変わらず、ご指導が好きですね。」
「ふん。俺の指導に音を上げなかったのはお前だけだからな。」
士官学校で最も怖い教官として恐れられていた浩忠だが、大神はその浩忠に真っ向から勝負を挑み、見事打ち負かした。
「中佐の強いところを、久しぶりに見てみたいですね。」
「あたしも見たいです。松平さん、お願いします。」
「・・・・いいだろう。」
防具を一切付けず、竹刀を持って立ち上がった。
「あの、中佐。防具は?」
「雑魚相手に防具などいらん。」
前に進み、対戦相手と向かい合う。
一礼し、竹刀を構える。
しかし、浩忠のとった構えは大上段の構え。しかも左手一本で竹刀を持っている。
「・・・・中佐のイケナイ癖が出た。」
横で座っているさくらはじっと浩忠を見ている。
(あの癖のある構えは・・・・・)
「始めっ!!」
「やああぁぁぁっ!!」
相手はがら空きの胴を狙って突っ込んできた。
「ぬんっ!!」
バキイイイイィィィィィィィィッ!!
浩忠の竹刀が相手の面に直撃!
浩忠の竹刀が粉々に砕け散った。
相手は脳震盪を起こし、その場に倒れて気絶した。
「な・・・・・」
誰もが言葉を失った。大神ももちろん。
ただ、それを冷静に見つめる者が居た。さくらだ。
(左手だけで、あの威力・・・・)
浩忠は折れた竹刀を納めた。審判はボーッとしている。
「おい、今の面は無効か?」
浩忠に声をかけられ、ようやく正気に戻った。
「あ、はい。面あり!一本!!」
「おい、いつまで寝てる。さっさと起きろ。」
相手の生徒はまったく起き上がる気配が無い。
「だらしない!それでも剣の道を志す剣客か!!」
竹刀を納め、礼もせずに背中を向けて下がった。
「・・・・・」
大神は浩忠の強さに絶句しているのか、声をかけれない。
しかしさくらはまるで何かを疑うかのように浩忠の顔を見ている。
数分間沈黙が続いたが稽古は再会された。しかし誰も浩忠の相手をしようとはしなかった。
約1時間後に3人は道場を出て、帝劇へ向った。
「やれやれ・・・若い奴はどんどん弱くなっていく。」
不意にさくらが立ち止まった。
「どうしたんだい、さくらくん?」
「・・・・大神さん。悪いですけど、先に帰っててもらえますか?松平さんと話があります。」
「・・・・ああ、わかった。あまり遅くならないようにね。」
「はい、すぐに帰ります。」
大神は疑問を抱きつつもその場を去った。
浩忠とさくらはしばらくその場で黙っていた。
先にしゃべりだしたのはさくらの方だった。
「もう・・・話してくれませんか?」
「・・・・・」
「あなたの本当の名前は・・・真宮寺・・・鉄馬でしょう?」
「・・・・・」
浩忠は何も言わない。ただ真っ直ぐにさくらを見ている。
「答えてください。・・・あなたは、私の兄、真宮寺鉄馬なんでしょう?」
真宮寺鉄馬・・・それはさくらの兄。ただし、現在戸籍には載っていない。彼は既に真宮寺家から追放されているのだ。彼は一馬の子ではなく、母親である若菜が突然身ごもって、いわゆる処女懐胎で生まれた子供である。
(詳しくは「大神一郎暗殺計画」を参照)
「・・・・・」
「・・・今まで、何度も人違いだと思ったこともありました。でも・・・・どうしても、あなたが兄に思えて仕方がないんです!」
「・・・・・」
「答えて下さい!本当のことを!」
「・・・・・お前の話はそれだけか?」
浩忠は顔色一つ変えない。
「何度も言わせるな、俺は海軍中佐松平浩忠。貴様の兄ではない!」
さくらに背を向け、歩き出す。
「松平さん!!」
さくらがいくら叫んでも、浩忠は振り向こうとしない。
浩忠の姿が見えなくなっても、さくらはその場に立ち尽くしていた。
日没後、さくらは戻ってきた。
真っ先に椿に浩忠のことを尋ねるがまだ戻ってきていないという。
さくらは一旦荷物を部屋に置くと支配人室に怒鳴り込んだ。
「米田支配人!!」
米田は一人で晩酌していた。既に酔いが回っている様子だった。
「おう、さくらじゃねえか。どうした?おっかねぇ顔してよ。」
「お聞きしたいことがあります!」
さくらの目は真剣そのものだ。
「松平さんは、あたしの兄、真宮寺鉄馬ですか?」
米田はさくらの目をじっと見ていたが、やがて目をそらしてあくびをした。
「俺は疲れた。寝る。」
しかしさくらは引き下がらない。
「教えて下さい。」
米田は外を向き、言った。
「・・・・そうだ。」
さくらの顔が凍りついた。
わかっていたとは言え、やはり精神的には相当こたえる。
「・・・あいつにも聞いたのか?」
「はい・・・」
「・・・・不幸なことだ。」
「気付いてしまったことがですか?」
米田は再びさくらの方を向いた。
「ああ、あいつはすべてを忘れようと努力してきた。だが、どうしてもお前のことが忘れられず、名前も変えてお前の前に現れたんだ。すべてはお前を、守るために。」
「・・・・・」
さくらは黙って米田の話を聞いている。
「本当はあいつの口から言うべきことだったんだ。だが、知らないで、ずっと疑ったままのお前を戦場に送るわけにはいかんからな。」
「・・・・支配人。・・・兄さんは、どうして、あたしに正体を隠そうとしたんですか?」
「・・・・それは俺が言うことじゃねぇ。だが、知らないほうがいい。お前もあいつも、傷つくだけだ・・・」
その言葉の意味するところはまださくらにはわからなかった。
翌朝、さくらは早めに起きて食堂に向った。
そこにいたのは浩忠だった。
一度は目を合わせたがすぐにそらし、気まずい雰囲気の中で食事をした。
「あの、松平さん。」
「何だ?」
多少不機嫌そうに答える。
「米田支配人からお聞きしました。あなたの本当の名前を・・・」
「そうか。」
妙に淡々としている。
「それで?どうするんだ?わかったからにはもう逃げも隠れもせん。殴るなり蹴るなり好きにしろ。」
「どうしてあたしが兄さんを殴らなきゃいけないんですか?」
「俺はお前を何年も騙してきた。その報いだ。」
さくらは笑顔を浮かべて言う。
「兄さんは兄さんです。名前は変えてても、あたしの側に居てくれただけで十分です。」
「さくら・・・」
「どんな形でも、兄さんに生きていて欲しかったんです。」
さくらは笑いながらも涙を浮かべている。
「さくら・・・済まない・・・」
浩忠もまた、涙を浮かべている。
ビィーーーッ!ビィーーーッ!
劇場内に警報が鳴り響いた。
「敵襲か!?」
2人とも食事を半分ぐらい残して席を立った。
「あの・・・」
さくらが恐る恐る尋ねてきた。
「これから、2人だけの時は・・・兄さんて、呼んでいいですか?」
浩忠は笑顔で答える。
「ああ・・・いいぜ」
「ありがとうございます!」
さくらは満面の笑みを浮かべ、ダストシュートに入っていった。
作戦指令室で米田から状況説明を受けた。
「敵は深川に小規模な部隊を送ってきた。霊子レーダーによると脇侍が5機確認されただけだ。陽動作戦ということも考えられる。よって隊を半分にわける。今回出動するのは、浩忠、さくら、紅蘭、織姫、レニの5人だ。残りの5人は帝劇で待機。」
「了解!」
5分後 深川
脇侍が林の中で何かしている。
浩忠達は木の陰に隠れて様子を覗っている。
「奴ら何をしているんだ?」
「何かを置いたり運んだり・・・・何なんでしょう?」
「まさか、ここに基地でも作るつもりや無いやろな?」
「あり得るね。ここに基地を作れば帝都への攻撃が容易になる。」
「何にしても、あんな奴らにこの街を荒らされるのは気分悪いでーす!!」
「そうだな・・・よし、行くぞ!!」
浩忠が先頭を切って飛び出すと、他の隊員たちも続いて突撃する。
「そうりゃああああっ!!」
浩忠の二刀が脇侍を貫く。
「はああああああっ!!」
さくらの剣が脇侍を真っ二つにする。
「もろうた!ほい!!」
ロケット弾で脇侍を粉砕。
「楽しいでーす!!」
織姫のレーザーは脇侍の心臓部を貫く。
「目標捕捉、攻撃!」
レニのランスも敵を貫き、脇侍は全滅した。
「これで全部片付いたよ、副長。」
「あーあ、早く帰ってシャワー浴びたいでーす。」
しかし、浩忠はなにやら考え込んでいる。
「どないしたんや、松平はん?」
「おかしい・・・・あっさりやられすぎる。」
「・・・そうですね、まるであたしたちを誘い出したみたいに・・・」
「嫌な予感がする。帝劇に引き返すぞ!!」
その頃帝劇では・・・
紅い脇侍に周りを完全に包囲されていた。
「脇侍に包囲されました。数はおよそ100機。」
「くそ・・・読んでいたとは言え、まさかこんなに来るとは・・・」
「花組、出撃態勢に入りました。」
「よし、大神に繋げ。」
米田は通信機をとった。
「大神、出来るだけ時間を稼げ。浩忠達が戻ってくるまで何とかふんばるんだ!!」
『了解!!』
帝劇の正面に花組は展開。帝劇防御壁をそこだけ開放し、敵を1機ずつ殲滅する戦法だ。
「よし、みんな無茶はするな!中佐達が戻ってくるまで、ここを守り抜くぞ!!」
『了解!!』
その時、どこからか声がした。
「あーはっはっはっは!!貴様らが何人来ようと、このわらわに勝てると思うのかえ?」
「その声はまさか!?」
「ほう、感心に覚えてたのかえ?そうだ、わらわは紅のミロク。」
紅のミロク・・・細川ミロクとも言う。元黒乃巣会死天王の一人。卑劣な手段を使って花組を追い詰めた妖女。
「フフフ・・・我が冥界黒騎士団の戦力を思い知ったか?お前達が何人倒そうが、負けはしないのさ!」
「冥界黒騎士団?」
「・・・おしゃべりが過ぎたみたいね。少々気が高ぶっていたようね。さあ、始めようか!!」
紅蜂隊が一斉に突撃してくる。
しかし入口が狭いため、少数で突入してくる。
花組は5人でローテーションを組み、交代しながら迎撃する。
「ほお、考えたね。だが・・・」
ドゴオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォッ!!
紅い稲妻が帝劇防御壁に落ち、一角が崩れた。
「しまった!」
「あーっはっはっはっは!!これでお前らも終わりだ!!」
紅蜂隊の数機ががまさに突入しようとした時・・・
「そうかな、ミロク!この俺に勝てるか!!」
突入しようとしてきた紅蜂隊が大爆発した。
「中佐!?」
煙の中から現れたのは漆黒の神龍。浩忠機だ。
「待たせたな、大神。」
「おのれ、松平め。貴様一人出てきたところで何になる!!」
突然ミロクの背後の脇侍が爆発。
そこに現れたのは4機の神龍。さくら達だ。
「どこを見て言ってるの?これで花組10人、全員集合よ!!」
いつの間にか形勢が逆転していて、既に紅蜂隊はほぼ壊滅していた。
「ミロク、観念しろ!」
「はっ!これでわらわを追い詰めたつもりかえ?」
ミロクは両手を天にかざした。
「ハーデス様!お力を!!」
突如暗雲が立ち込め、雷が花組に降り注いだ。
「うわあぁぁっ!?」
「何ぃっ!?」
一瞬の内に全機黒焦げになり、動かなくなった。
「くそ!動け!!動け!!」
大神は必死に動かそうとするが電流で機械がやられ、既に完全に機能が停止してしまってどうしようもない。
「さくら!どこだ、さくら!!」
浩忠が叫んだ。
大神はハッチを開けてさくらを探すがどこにも見当たらない。
それから全員でさくらを捜したが、やはり見つからなかった。
夜中まで捜索は続けられたが隊員たちの疲労も激しくなってきたため、一旦打ち切られた。
各自、自室に戻り休むことになった。
「・・・・・」
浩忠は眠らず、ただじっと窓から外を見ている。
ピィーーーッ!ピィーーーッ!
キネマトロンに通信が入った。相手は真田だった。
『テツ、奴らのアジトがわかった。場所は日本橋の黒乃巣会本部跡だ。さくらもそこにいる。』
「わかった。ありがとう、トシ。それと・・・例によってもう一つ頼みたいが・・・」
『わかってる。俺が司令に報告するのは30分後だろ?』
「恩に着るぜ。じゃあな。」
通信を切り、後ろ髪を一つに束ね、二本の刀を持って部屋を出た。
花組副長松平浩忠は一人、漆黒の闇の中へ消えて行った。
To be continued・・・
キャスト
大神一郎
陶 山 章 央
真宮寺さくら
横 山 智 佐
神崎すみれ マリア=タチバナ
富 沢 美智恵 高 乃 麗
アイリス 李紅蘭
西 原 久美子 渕 崎 ゆり子
桐嶋カンナ ソレッタ=織姫
田 中 真 弓 岡 本 麻 弥
レニ=ミルヒシュトラーセ 真田俊樹
伊 倉 一 恵 小 林 清 志
紅のミロク
引 田 有 美
門下生
千 葉 一 伸
三 木 眞一郎
米田一基
池 田 勝
松平浩忠(真宮寺鉄馬)
堀 秀 行
次回予告
兄さんが教えてくれたこと・・・ 大神さん、あたしは諦めません!! |