−世界情勢−

日仏関係

 フランスは伝統的に排他主義が強い国である。
 そのフランスが、巴里のみならず欧州大陸全土の霊的防御の中核となる=フランスが大陸の盟主であることを誇示するかのような部隊である巴里華撃團・花組隊長に日本人である大神を据えたのであろうか?
 まず、表向きの理由としてあげられるのが、霊的戦闘における人材不足と経験不足である。これを補うには、帝國華撃團から“ヘッドハンティング”するのが手っ取り早く、また、最も効果的である。
 だが、これはあまりに表向きすぎる。大神が帝國華撃團に赴任した直後から戦闘がはじまっているにもかかわらず立派に隊長を務め上げたこと、また巴里赴任当時はまだ巴里に差し迫った危機がなかったことを考えると、理由としてはいささか弱い。更にこちらは経験者でも何でもない迫水が凱旋門支部長に納まっていることの説明もつかない。
 そこで、クローズアップしたいのが、グラン・マの光武Fの開発についての発言だ。すなわち「蒸気併用霊子タービンが神崎重工製」ということである。
 この機関は霊子兵器の“核”ともいえる部分で、軍事技術への転用も容易に考えられる。通常なら機密兵器扱いであっておかしくない。これを輸出したということは日仏がかなりの友好関係にあることを示している。
 とはいえ、強い友好関係だけでは日本はOKしなかったのであろう。交換条件となったのが、実働部隊である巴里撃・花組に対して影響力を保持・行使するために隊長としての大神起用を求め、霊子技術を軍事転用しないように見張るために迫水を幹部起用するように求めたのではないだろうか。

 こう考えると、今後の日仏関係は軍事同盟に近いものになるのではないか。場合によっては日仏同盟vs英独同盟なんていう第二次世界大戦になるのかも……?


2001/04/06 米田鷹雄

仏独関係

 日仏関係についてで触れたが、フランスは伝統的に排他主義が強い国家であり、なぜ、日本などから霊子技術を導入したかという問題がある。

 隣国として、アイゼンクラウトを生み出したドイツがある。
 ドイツならば白人国家でもあるし、第一次大戦の敗戦直後の混乱期にあり莫大な戦後賠償にあえいでいた。ならば、霊子技術を売り、その足しにしてもよさそうなものである(以上、掲示板の大使さんの指摘より)。

 まず、基本的な独仏関係に触れておくと、はっきりいって仲は悪い。
 度々戦争を繰り返しているし、近代ではアルザス・ロレーヌ地方という領土帰属問題もあった。第一次大戦でも衝突し、ドイツは敗北。そのドイツに、フランスは莫大な賠償金を請求し(これはヒトラーによって支払が停止されたことで終わったが、まともに払いつづけていたら21世紀まで賠償金を払うことになっていたといわれている)、後には支払ができなかったからとドイツのルール工業地帯を接収するという暴挙すら見せる。
 これをふまえると、ここまで険悪な仲のドイツよりも、日本を選んだという考えもできる。

 そして、もう一つは霊子技術の飛躍的な進歩という問題がある。
 帝國華撃團が使った歴代の霊子甲冑を見ればわかるように、霊子技術は数年で飛躍的に向上している。これは、黎明期の技術にはありがちなことだ。
 そうした点からドイツを見た場合、第一次大戦敗北までは霊子技術の最先端をいっていたかもしれない。ヴァックストーム計画(おそらくは第一次大戦中に実行されたのだろう)によりレニという“人工霊力強化人間”を生み出し、あるいは戦後も1924年にアイゼンクライトを完成させている。
 しかし、アイゼンクライトは最後の煌きだったのではないだろうか。
 アイゼンクライト以降も、神崎重工はそれより強力な天武を生み出し、また、巴里撃の光武も最終型F2は天武と同等以上の力をもっていると想像される。
 資金難であり、かつ、研究が制約されたドイツでは、アイゼンクライトIII<クロイツ>以上の開発を行うことは困難だ。

 また、劇中でも“完成された”霊的都市防衛機関とされる帝國華撃團のノウハウそのものも導入したかったことも原因だろう。
 ドイツから、ハードを導入できたとしても、そこにソフトはないのである。

 以上のことから、フランスはドイツよりも日本と手を結ぶことを選択したものと推察される。


2001/04/22 米田鷹雄

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