第3話 「淑女登場!?」(その2)

「大神さん、きてください!」

 帰還し、米田への報告を終えた大神を、さくらが引っ張っていく。

「おいおい。どうしたんだい、さくらくん」

 疲れてるのに、勘弁してくれとでもいいたげな大神だが、さくらはおかまいなしだ。

「いから、はやく来てください! カンナさんの様子が変なんんです!」
「カンナが!?」

 よく話を聞くと、カンナは帰還後、すぐに自室に戻ったきり出てこないらしい。

「あ、隊長」

 行けば、カンナの部屋の前にみんな集まっている。

「マリア。どうなってるんだい?」
「わかりません。塞ぎ込んでるとは思ったんですが、話し掛けても全然、返事がないんです」
「前にこんなことはあったのかい?」
「いえ。こんなカンナは見たことありません」

 マリアとカンナは帝撃でも最も付き合いが長い。だが、そのマリアでもわからないという。

「撤退したことがそんなにショックだったのかな?」
「まさか!」

 そう言ったのはすみれだ。

「そーんなか細い神経してるわけないじゃありませんか。せいぜい、ヤケ食いするのが関の山ですわ」

 口は悪いが、その通りだ。さすがにカンナのことをよく見ている。

「うーん……とにかく、話を聞かないと」

 大神はドアをノックする。

「カンナ、開けてくれ。大神だ!」
「……隊長か」

 ようやくカンナから返事があった。

「カンナ。何があったんだ。話を聞かせてくれよ」
「ごめん。一人に……してくれないか」

 返答しただけ、ましとはいえるが、それでもカンナは心を開かない。

「……とりあえず、時間をおこう」

 大神の言葉に従い、みんな解散する。大神自身も部屋に戻る。

「とりあえず、明日の朝だな」

 翌朝。
 大神は手早く朝の支度をすますと、カンナの部屋へ向かった。

「カンナ。起きたかい? 大神だけど」
「はい。今、あけますよ」

 ドアが開く。

「カン……ナ!?」

 カンナの姿を見た大神は呆気にとられた。なぜなら、彼女はアイリスが着ているような、フリル一杯の服とスカートを身に着けていたからである。

「ど、ど、ど、ど、」

 どーしたんだい? と問いたくても言葉がでない。

「あ、大神中尉。どうかなされました?」

 大神は口をパクパクさせるばかりだ。

「変な中尉ですわね。それでは、お先に食堂へいかせていただきますわ」

 朝食のために食堂におりたカンナを見て、他の面々も呆気にとられた。さらに驚くべきことに、御飯を一杯しか食べなかったのである。

「カ、カンナさん。あなた熱でもあるんでなくて? 似合わないことはするものではありませんわよ!」

 動揺しながらも、すみれが精一杯の嫌みを言う。

「いえ、すみれさん。私、心を入れ替えましたの。これからは淑女として振る舞いますので、よろしゅうおたの申します」

 およそ、普段のカンナからかけ離れた振る舞いにさすがのすみれも二の句がつげない。

「それでは、みなさま。ごきげんよう」

 他の隊員も、あのマリアでさえも、ただ、カンナを見送るしかなかった。
 そこに入れ違いで、大神が降りてくる。

「大神さん! カンナさん、見ました!」
「ああ。見た」

 さくらの問いに応えるも、まだ放心気味だ。

「大神はん。カンナはん、頭でもうったのとちゃうか?」
「まさか。そんなことじゃないと思うけど……」

 とはいっても、自信なさげだ。

「隊長。カンナをどうしますか?」

 マリアが決断を迫る。
 いずれにしても、どうするかの結論はすぐにも下さなくてはならない。

「しばらく様子を見よう。原因がわからにから、どうにもならない」
「わかりました」

 3日が過ぎた。
 カンナの態度は相変わらずである。。今は、サロンで蓄音機を聞きながら、ハーブティーを飲んでいる。

「うーん」

 大神は自室で頭を抱えていた。
 米田にも相談しにいったが、「俺に理由がわかるか。隊員のことはお前が何とかしろ」と言われただけである。

(こんな時、あやめさんがいてくれたら)

 だが、彼女はもういない。
 自分が副司令格であり、花組をひっぱっていかなくてはならない。気を取り直して、部屋を出る。

「あ、さくらくん」

 ばったり、さくらと出会う。

「あ、大神さん」
「どうだい。何かわかったかい?」
「いえ、何も……」

 もちろん、カンナのことだ。

「うーん……」

 と、そこに紅茶を飲み終えたのか、カンナが通りかかった。

「あら。お二人とも、仲のおよろしいことで」
「カ、カンナ」
「カンナさん」

 なにか、だいぶやつれたようにも見える。

「うらやましいですわ。私も中尉と楽しくお話させていただきたいですのに」
「え、うん。いつでもいいよ」
「いえ。お二人の語らいを邪魔するほどあたい、いえ私は野暮ではありませんので、失礼いたいますわ」

 去りゆくカンナの背中を呆然と眺めていた大神だが、ハッと我に帰った。

「さくらくん。俺はカンナの様子を観察してみるよ」
「頑張ってくださいね、大神さん!」

 要は尾行するということである。カンナはそんな大神には気付かず、階下へ降りてゆく。やがて、食堂にさしかかった。
 そこには、マリアとアイリスがいる。アイリスが何やらおやつを食べているところだ。マリアはアイリスの面倒を見ているところらしい。

「あら、アイリス。いいわね」
「カンナおねーちゃん! 一緒に食べる?」
「遠慮しておきますわよ。ゆっくり、おやつを楽しみなさい」

 「食堂の主」とまで呼ばれたカンナが、素通りしていくとは。前と変わったことはわかっているとはいえ、やはり、驚きをかくせなさい。

「あ、お兄ちゃん」
「しーっ!」

 カンナを追って食堂を通ろうとした大神は慌ててアイリスの口を塞ぐ。

「カンナに気付かれないようにしてるんだから、大声を出さないでくれ」
「はーい」

 素直なアイリスである。

「しかし、相変わらずの調子だなぁ」
「けど、カンナおねーちゃん、このケーキを見て、食べたそーにしてたよ」

 アイリスが言う。

「え、そうだったかな?」
「うん。だって、お腹がグーッってなってたよ!」

 突如、大神の顔が真剣になる。

「アイリス……その時、カンナの心を読んだか?」
「えっ……その、えっと……」

 アイリスは言い淀む。彼女は普段は力を使わないように強く戒められている。中でも心を読む能力は特に使ってはいけないといわれているのだ。
 とはいっても、心を読んでいるかどうかは、他人からはわからないから、時々、悪戯心が頭をもたげ、力を使っているののである。こういうところは、アイリス自身は嫌がるだろうが、まだまだ子供だ。

「怒らないから、言ってごらん」
「……あのね、とっても難しいかったの」
「難しい?」
「うん。食べたいけど食べたくなくて、普通にしたくなくて、普通にしたいの」

 心が揺れ動いているということだろう。

「でも、はっきりしてるのは、変わらなくちゃ、って思ってることだったよ!」
「そうか。ありがとう、アイリス」
「えへへ。お兄ちゃんに褒められちゃった!」

 アイリスは満面に笑顔を浮かべる。

「アイリス。調子にのっては駄目ですよ。力をむやみに使ってはいけないのですからね」
「はーい。わかってますよーだ」

 マリアがすかさず手綱をしめるので、アイリスはふくれてしまった。

「はははは。じゃあ、もういくからね」
「お疲れ様です、隊長」
「お兄ちゃん。頑張って!」

 食堂を出ると、すでにカンナの姿は見えなくなっていた。

(変わらなくちゃ……か)

 その言葉が、今回の鍵に思えた。だが、まだ情報が足りなすぎる。

「よし、事情通のところにいこう」

 事務室へ向かう。

「大神さん。何か御用ですか?」

 由里が出迎えた。帝劇の一人井戸端会議とも評される彼女こそ、大神の目当てとする人物である。

「やあ。ちょっと、カンナのことを聞きたいんだけど」
「えーっ。カンナさんですか? そういえば、最近、様子がおかしいんですよね」
「うん。それで、何か知らないかと思ってね」
「そうですねぇ。そういえば、カンナさんって、花組で一番の年長じゃないですか。この前、中学校の同級生が結婚して、その同級の中で未婚で残ってるのは女性ではカンナさんだけらしいですよ!」

 カンナも21歳。太正時代では適齢期も末期である。

「他には?」
「そうですねぇ。大神さんは、自分のことを女として見てくれないのかな、ともいってましたよ。もてますね、大神さん!」
「からかわないでくれよ」

 しかし、次第に輪郭が掴めてきた。

「ありがとう、由里くん」
「どういたしまして。またきてくださいね!」

 大神は、ある決意を固め、歩き出した。

「カンナ。開けてくれ」

 大神が乱暴にカンナの部屋のドアをノックする。

「そんなにしたら、ドアがこわれますことですわよ」

 カンナが顔を出した。

「カンナ。今から地下の鍛練室にいくんだ」
「いやですわ、中尉。私は空手など、もういたしませんわ」

 実際、カンナは変貌してからこの方、一度も鍛練室へ足を運んでいなかった。
 だが、大神は厳しい口調で続ける。

「いいからくるんだ。これは命令だ!」

 強引にカンナを引っ張って連れていく。

「自由組手だ。準備はいいか?」
「中尉。いいかげんにしろ……いえ、してくださいな」
「いくぞ!」

 嫌がって、構えもしないカンナに、大神は次々と技を叩き込んでいく。

「うわ、ちょ、ちょっと!」

 態勢が整っていないカンナだが、さすがにうまく攻撃をかわしている。しかし、じりじり後退していく。

「よけてばかりじゃ、駄目だぞ!」

 大神が中段蹴りを放つ。よけようとしたカンナだったが、足を滑らせた。
 バランスを失った彼女の脇腹に、大神の足がめり込んだ。

「くっ……隊長、あてやがったな!」
「まじめにやらないヤツには制裁だ!」

 無茶苦茶である。大神は寸止する気はさらさらないのだ。幸い、カンナの鍛えあげた筋肉がダメージは最小限に食い止めている。

「いくら隊長といえども、もう、我慢ならねぇ!」

 そんなカンナを無視するように、大神が右の裏拳を出す。だが、裏拳は当たれば大きいものの、モーションが大きく見切られやすい。
 カンナは右手で大神の拳を遮ると同時に、カウンターの右上段蹴りを入れた。小気味のいいくらいの音がして、大神の顔面を直撃する。元来、カンナの修めた琉球空手霧島流は実戦武道だ。その威力は折り紙つきである。

「ぐわっ!」

 大神が吹き飛ばされた。仰向けに倒れた彼の顔面は血に染まっていた。

「た、隊長! 大丈夫か!?」

 我に返ったカンナが大神に駆け寄る。

「ああ。さすがだな、カンナ」

 大神は流れ出る鼻血をおさえながら上半身を起こした。

「それよりも、元に戻ったじゃないか」
「え!? いや、えーと………」

 怒りで地が出たのだ。

「カンナ。君は自分が嫌いかい?」
「……それは……」
「でも、カンナは変わりたいんだろう?」

 そう、カンナは変わりたかった。
 マリアが女らしい服を着、喜劇にでるようになった。
 サクラとすみれが男っぽい役をやれるようになった。
 紅蘭は昔からの器用さに磨きがかかってきた。
 アイリスは日一日と成長してきた。
 みんな、変わっている。成長している。
 だが、自分は……
 役はいつもと同じような役。
 唯一のとりえの空手も、思うようにいかない。
 成長するどころか、退化しているではないか。
 そうしたら、自分に何が残るというのだろう?
 マリアのように冷静さはない。
 さくらやすみれのように女っぽいわけではない。
 紅蘭のように知識があるわけではない。
 アイリスのように強い霊力を発揮できるわけではない。

「あたいは……」

 しかし、そこから先は言葉がでない。
 彼女自身、本当は何をどうしたいのだか、答えがだせないのだ。

「らしくないぞカンナ! カラにこもったりして」
「隊長……」
「誰だって、自分に嫌気がさしたり疑問を抱いたりする時はあるさ。けど、それを自分の力にかえていかなきゃ、自分が自分である意味はないぞ!」
「わかんないよ、あたい。どうすればいいいんだよ!」
「今の組手でわかったろ? カンナは琉球空手霧島流第二十八代継承者なんだから、それを否定しちゃ、答えは見つからないさ。自分に素直でなきゃいけないってことだ」

 それはかつて、あやめに教えられたことだ。

「同じ帝撃の仲間に、無理に装うなよ。答えが欲しければ、一緒に探せるさ!」
「隊長!」

 カンナの目にうっすら涙が滲んでいるように見える。

「だいたいだな。カンナがおしとやかだったら、ただの筋肉質の食いしんぼだぞ。社会の為にも帝撃花組切込隊長でいてくれないとな!」
「……そこまでひどいかよぅ!」

 一転、憮然とした表情となるが、そこには先程まってあった暗い、迷いの表情はない。

「さあ、みんなのところにいこう!」

 その時、警報音が響き渡った。

「でたな! いくぞ、カンナ!」
「おうよ!」

「帝國華撃團、参上!」 

 翔鯨丸で急行した靖国神社には、黄泉兵があふれかえっていた。

「来ましたね」

 境内の奥には「水の荒波」の姿がある。

「さあ、いつでもいらっしゃい!」

 靖国神社の境内は鳥居から社殿まで一直線。幅50米、長さは数百米もあろうというものだ。

『大神!』

 米田からの通信が入る。

『靖国を汚すやつを許すんじゃねぇぞ!』

 靖国神社は明冶12年に成立した新しい神社だ。だが、まつられているのは、幕末以来の国家に殉じた英霊であるという点が特異である。つまり、米田が日清・日露戦争などで共に戦った戦友達もここにまつられているのだ。そこを攻撃されることは戦友に対する冒涜だ。何物にも変えがたい苦痛だ。
 もちろん、帝國海軍軍人である大神にとっても、偉大なる先達がまつられている地である。

「わかってます、長官!」

 だが、敵の数は半端ではない。境内に隙間が見当たらないほどだ。まともにいっては、包み込まれて消耗してしまうだろう。

「さくらくん。敵までの路をつくってくれ!」
「わかりました!」

 さくら機が一歩、前に出る。

「破邪剣征・百花繚乱!」

 炎の帯が、黄泉兵を一気に掃討する。荒波まで一直線の路ができあがった。

「カンナ、ついてこい。突撃だ!」
「了解!」
「他のメンバーは後方から黄泉兵を制圧!」
「了解!」

 だが、マリアが大神へ通信をおくってきた。

「隊長。カンナで大丈夫ですか?」

 さすがにマリアはよく見ている。しかし、それでも全てを見通しているわけではない。

「大丈夫だ。今のカンナならな」

 大神は断言する、

「いくぞ! 高速機動装置、発動!」

 神武がやや前屈みになると同時に、足元から砂煙があがる。そして、滑るように神武は移動を開始し、みるみる速度をあげていく。
 これは、神武の足に装備された無限軌道と車輪を使って移動するやり方なのだ。これを行うと、(平地という制限はつくが)通常よりも高速で移動することができる。しかし、その分、エネルギーの消耗は激しく、作戦行動時間は短くなるという欠点ももっていた。

「チェスト!」
「とりゃぁ!」

 路を塞ぐべく、左右から黄泉兵が迫り出してくる。しかし、大神もカンナも速度を落とさぬまま、それを攻撃していく。ひるんだところを突破していくので、とどめはさせないが、それは後方のさくら達の仕事だ。

「隊長、突出しすぎです!」

 マリアが叫ぶ。大神とカンナの前衛二機と後方部隊との間が開き過ぎている。大神達の進撃速度についていけていないのだ。
 後方支援を失った大神とカンナは敵を撃破しきれず、取り囲まれていく、

「なめるなよ、雑魚が!」

 カンナ機が大神機に隣接する。

「いくぜ、隊長!」
「よし!」

 両者の機体の腕部に霊力が集中していく。

「質実剛健」
「天衣無縫」
「百戦百勝」
「電光石火」
「いくぜ! 久流々破!!」

 囲みにきていた黄泉兵達が一気に掃討された。
 ノッっているカンナの攻撃力は明らかに増大している。

「さあ、覚悟しやがれ!」

 荒波の魔霊甲胄「青穢」に隣接する。

「なるほど。前よりもやるようですわね。でも、同じ結果となるのよ!」

 荒波が妖力を集中させる。

「爆波征天昂!」

 その攻撃力は相変わらず凄まじい。
 だが、カンナは前回とは違う。

「この程度か!」
「なにぃ!?」

 耐えきったカンナは、素早く攻撃を叩き込んでいく。

「チェストォォォォォ!」

 左右の正拳から右上段回蹴のコンビネーションが奇麗に決まった。「青穢」が大きくゆらぐ。

「狼虎滅却、無双天威!」

 大神もすかさず追撃を入れる。

「くぉぉぉぉぉぉぉ! 生意気なぁぁぁ!」

 荒波も反撃を返してくるが、焦りからか効果は薄い。

「これで決めるぜ。四方攻相君!」

 渾身の一撃が炸裂した。

「ば、馬鹿な。人間ごときにぃぃぃぃいぃ!」

 「青穢」は四方に光を放ったかと思うと、次の瞬間に四散する。
 残っていた黄泉兵達もボスを失ったことに気付き、姿を消していった。

「いくぜ、みんな!」

 カンナが勢いよく音頭をとる。

「勝利のポーズ、決めっ!」

「みんな、心配かけてすまなかったな」

 カンナは照れ臭そうに頭をかいた。

「ふん。大体、おしとやか、なんてカンナには似合わないのよ」
「ちぇっ。悪かったな」

 意外に素直だ。
 大神の言葉で。すっかり本来の自分に対する自身を取り戻したようである。

「ところで、隊長。一つ聞いていいかい?」
「なんだい?」
「隊長はさ、あたいのこと女だと、あんまり思ってねぇだろう?」
「いや、その、そんなことはないよ」

 見透かされて大神は焦る。

「じゃあよ。あたいのどこに“女”を感じるんだい?」
「え、それはその……」

 思わず、カンナの立派な胸に目がいってしまう。

「お兄ちゃん、どこ見てるのぉ!」
「え、いや、ええと……」

 しどろもどろになるが、カンナの反応はさっぱりしたもんだ。

「なんでぇ。ちゃんと女だと思ってくれるなら、何でもうれしいぜ」

 カンナはおもむろに大神を抱き寄せると、その顔を自分の胸にうずめさせた。
 それに血相を変えたのはさくらとすみれだ。

「カ、カ、カ、カ、カ、カ、カ、カンナさん!?」
「ちょっと、そこのバカ女! なんて破廉恥なことをしてるんですの!」

 すみれとさくらは大神を引っ張って無理矢理ひきはがす。

「なんでぇ。隊長にあたいも女なんだぞ、ってアピールしてたのによ」

 ここまでカラッとしていると、いっそ清々しい。

「あなたね。そんなことしたら中尉の顔が腐りますわ!」
「あんだと、もう一度言ってみろ。この出戻り!」
「なんですってぇ!」

 すみれとの喧嘩もいつも通り。

(どうやら、もう心配はなさそうだ)

 二人を見ながら大神は思う。

(それにしても……びっくりしたな、カンナの行動には。ちょっと、いい思いをできたけども)

 ちょっとどころではないぞ、大神!


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