あずまんがサクラ3   作・米田鷹雄

1.11才

「もうすぐアイリス誕生日だね」

 さくらが話かけてきた。

「そうだよー。アイリス、もう11才になるんだよ!」

 誇らしげに胸をはる。

「これでアイリス、大人に近づいたよ!」
「そうですの。アイリスももう11才ですのね」

 さくらの横にいたすみれが口を開いた。

「でも、もーっと若くみえますわね」

 アイリスは固まってしまった。


2.アイリスらしく

「……フランスにいた時も、いっつもちっちゃいっていわれてた」

 おちこみ気味のアイリス。

「アイリスはちっちゃいほうがアイリスらしくてええで」

 それを紅蘭がなぐさめようとする。

「アイリスはちっちゃいほうがアイリスらしくてええで。だいたい、アイリスが大きかったら、それアイリスちゃう」

 紅蘭は少し考えて言った。
 可愛い“リス”の部分を外して……

「そうや、アイや!」


3.口ベタ

「カンナはどうしてそんなに背が高いの?」

 アイリスの質問にカンナは困った表情をする。

「…まあ、その、なんだ。小さいほうがかわいくていいよ「
「えー。でも、高いほうがかっこいいよー」
「……かっこいい?」

 カンナは一瞬、沈黙する。

「……かっこいいより、かわいいの方が…その……強い……」


4.成長期

「そういや、カンナってまだ背がのびてる?」
「…みたい」

 マリアの言葉にカンナは頷く。

「やっぱり? 最初に会った頃より大きくなってるわよね」

 この言葉に紅蘭がハッとした。

「アイリス、なんかカンナに吸い取られてる!」


5.かえして

「カンナぁ。アイリスの身長取ったんですか?」
「おいおい、何を言い出すんだすよ」

 馬鹿なことをとカンナが否定しようとするが、アイリスは笑顔のまま追求し続ける。

「取ったんだね?」
「お、おいおい……」
「かえして〜、かえしてください〜」

 アイリスはカンナに向けて飛び跳ねるようにして言い続ける。

「あら、カンナさん、困ってますわね」
「やるなー。アイリス、さすが11才やなぁ


6.素直な感想

 一段落したところで、今度は紅蘭がカンナに話かけてきた。

「でも、私としてはその胸が気になるな〜」

 紅蘭はカンナを見る。
 見る
 見る
 見る
 見る
 見る
 見る
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

「ええなっ」


7.どーん

「んー、確かにそれは気になりますね!」

 突如、織姫の登場である。

「で、今のどのくらいなんですかー?」
「そやそや。おじさんに言ってみぃーや!」
「あ、いや、その……」

 三人が顔を付き合わせた密談する。

「え゛!? うそ!? 私との差が一段となってるのねー!!」
「なんなん、それ!?」

 二人はカンナにくってかかった。

「かえすでーす」
「かえしなはれー」


8.比率

「はぁ。カンナはんすごいなぁー」
「そんな事ねぇって。単に身体が大きいからよぉ……」
「あ、そやな。もし、カンナはんと私がおんなじ身長やったら、大差ないかもしれんな」
「そうそう」

 頷くカンナ。
 しかし、しばしの間ののち、紅蘭は視線を外して呟いた。

「そんなわけないやん……」


9.憧れ

「紅蘭はコンタクトにしないの?」

 レニが尋ねる。

「ん? 今んとこそのつもりはないなぁ」
「ふーん」

 しばし紅蘭の顔を見つめて一言。

「でも、煮沸消毒とかしてみたくない?」
「い、いや別に……」


10.難読

「僕、目がいいから眼鏡ってちょっと憧れるんだ」

 レニは紅蘭に言う。

「なんでも見えるんだ。あの遠い看板も」

 テラスの窓から外を指差す。

「ちゅ…ちゅ…」

 そのままレニは固まってしまった。

「……漢字読めないけど、見えてるんだ」
「あーそうかい」


11.自己犠牲

 慰安旅行にきた花組一同。
 ちなみに大神は留守番、米田とあやめが引率である。

「かんぱーい」

 早速はじまる宴会。
 とはいえ、花組はジュースやお茶を飲んでいるが。

「いやぁ、秘蔵の日本酒もってきたんだよぉ」
「支配人!」

 あやめは思った。
 米田に全部飲ませたらひどい事になる。
 ここは私が飲まねば……


12.自滅

「なによぉ、男なんて! 一人でもいいじゃないの!」

 あやめ、すっかりできあがる。

「こちとらもう大人だぞ!」
「じゃあ、あやめはん。大人のつきあいってゆーとやっぱしエロエロ?」
「エロエロよーー!!」

 あやめは大声で断言する。

「おおっ。例えば!」
「……例えばぁ」


13.大人の世界

 あやめは熱弁を振るった。
 花組一同は興味津々に、好奇心丸出しの笑顔で話しに聞き入る。

 あやめは熱弁を続けた。
 花組一同は興味津々に、好奇心丸出しの笑顔で話しに聞き入る。

 あやめは熱弁を続けた。
 花組一同は興味津々に、しかし、生々しい話に次第に笑顔が消えてきた。

 あやめは熱弁を続けた。
 花組一同は半ば呆然と、真剣に話を聞いていた。


14.わかりません

 花組一同はあやめの話に無言で聞き入っていた。
 カンナも顔はそむけているが、真っ赤になっているところを見ると耳はあやめの話に向っていることに間違いない。
 ただ、アイリスだけはわけがわからないというようにポケ〜としている。

「えっ、えーと……どういう……意味?」

 口を開こうとしたアイリスを紅蘭がたしなめる。

「しっ、黙って聞いとき!! 大人になればわかるさかい」

 そして、アイリスはわけもわからず、他の一同は真剣に話を聞きつづけた。


エピローグ

「あれ……なんで……」

 あやめは二日酔いで痛む頭をおさえていた。

「おはようございます、あやめさん!」

 アイリスが朝の挨拶をしてくる。

「大丈夫ですか?」
「おはよう……大丈夫って?」
「………」

 しばし、間があいてからアイリスは言葉を続けた。

「あやめさん、××××××って、どういうことですか?」
「は!?」

 とんでもない言葉がアイリスから飛び出したことにあやめは動揺した。

「ア、アイリス! どこでそんなの覚えたの!?」

 だが、米田が冷静に突っ込んでいた。

「おめーだよ、おめー」

〜Das Ende〜





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